蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

ぼく、はじめてのエロ本を買う。

 さんはエロ本を購入されたことありますか?
 私は先日、人生で初めてお店で買いました。即買い、でした。

 

 買ったのはコチラ。
 べろせさんの『べろまん』

f:id:arimeiro:20190304184147j:plain


 Twitterべろせさん本人が購買促進のために一話だけ掲載しており、無料でえっち本読めるなんてラッキーと軽いノリで読んだところ、圧倒されて泣いてしまったので、この度購入に踏み切った。
 中身は申し分なくエロくて女の子も可愛くて男もキモいのだけど、それ以上にネームが良くて、特にTwitterに掲載されていた「ハローグッバイ」という話はエロどころじゃないくらい良かった。深いのだ(エロい意味で深いのではなく)。
 「ハローグッバイ」というお話は世界が滅亡する前に童貞を捨てたい!というお話。世の中は生きることに諦めムードの中、主人公たちもどうしてまだ学校に来てんだろう?って生に執着がなく、性にも執着はなくて、いっそ童貞だけ捨てられればいいやって感じなのだが、単なる女友達との奔放な性交の中で自分が想っていた女の子への本当の気持ちや「生きたい」という素直な感情、欲望に気付き、少年と少女は世界滅亡前夜に大人になれないまま大人になる。
 前編と後編に分かれていて、Twitterでは前編だけ掲載されていた(R18なので注意)。前編の終りを見るとじつに示唆に富んでいるというか、登場人物の消失や終わり方に想像の余地を残していて、物語に広がりがある。
 後編を読むと、夢物語のような展開で「エロ」に突き進み、現代的な若者のドライな生と性がいかに抑圧されたものかが伺えるし、そこから萌芽する「生」の熱と、人々の本当に欲しかった温もりや愛情を「性」と「死」を通して爽やかに描き出していると思った。「生」と「性(欲望)」に無頓着で執着がないドライな現代的空気を、迫りくる世界滅亡という「死」が表出させて変えていく。「性」の絶頂というある種の「死」をもって。わからんけど。
 と、えっち漫画の書評をするとなんだか無粋に思うのは私だけだろうか。
 読んでヌけ。以上!閉廷!
(収録されている「ふたりぐらし」も良かったし、あとがきのおまけ漫画も良かった)


 皆さんは、エロ本売り場に足を踏み入れたことがありますか?
 私はこの『べろまん』を買うとき、はじめてアニメイトのエロ本コーナーに足を踏み入れた。
 以前からTSUTAYAのAVコーナーにはちょくちょく行っていたのだけど、エロ本は初めてだ。
 棚の上から下までエロ。すごい光景だ。こうなってくると逆にエロくなくて、なんだかものものしい。時空が歪んで見える。
 AVコーナーもエロ本コーナーも時空が歪んでいるのはなぜだろう?空気が淀んでいて、欲望が凝縮されていて、濃密な熱が渦巻いていて、棚の端から端までが遠く感じる。私だけだろうか?興奮して脳にナゾのホルモンが分泌されているのだろうか?
 あらためて日本の性産業はすごいなぁと思う。男性向けだけでなく女性向けも扱っているし、BLコーナーもかなり充実。BLコーナーはBLコーナーでまた別の時空の歪みをしていて、本棚が倒れてくるんじゃないか?みたいな特殊な威圧感を放っていた。あれはあれで花園なのだ。
 エロ本コーナーには紳士が私を含めて三人ウロウロしていて、驚いたのが、全員背を丸め、うつむいていた。誰一人、堂々と胸を張って闊歩する者はいなかった。エロコーナーに入った以上、コソコソしなくていいはずなのだが、なにかやましい気持ちがあってどうしても背が丸まってしまうのは、男らしくない。人のふり見て我がふり直せ。私は胸を張り大股で歩いた。
 興味をそそられるタイトル、イラストの本が多く、いくつか手に取ったものの、一度にこれだけ爆買いすると一発で顔を覚えられてしまいそうなので、『べろまん』だけを手に、レジへ向かった。
 レジは男性だった。安心した。女性だと恥ずかしくなってしまう。申し訳なく思ってしまう。
 女性の若い人がレジでもなんかそういう「プレイ」だと思えてくるから嬉しい、と言っていた人がいる。それはそれでいいものだ、と。誰が言っていたかは定かではない。知人だったかもしれないし、ネットの匿名だったかもしれないし、死んだ父だったかもしれない。
 レジの男性はどんな趣向なのだろう?などと考えているうちに、商品は厳重に黒いビニール袋に入れられ、それを受け取り私は店を出た。そして、街を闊歩して帰った。
「私は今エロ本を持ちながら街を歩いているのだ」
 ひとつの通過儀礼を終えて、大人の階段を昇った気分。見晴らしが少し良くなった。
 勇気が湧いてきた。


 R18コーナーに入るのはどうしても恥ずかしいし、レジで顔を見られるのも嫌なものだが、経験しておくのも一興だ。ネットに違法アップロードされている動画や漫画で「性」を使い捨てるのはいかがなものだろう。男らしくないではないか。
 自分の「性」を発散する以上、責任を持ちたいものだし、違法ではなくちゃんとしたルートでモノを手に入れるべきだ。お金を払ってDLするも良し。店に行くも良し。

 私はそうありたいし、そうなっているつもりなので、街を堂々と歩く。エロコーナーになじみのバーに入るようなノリで入る。胸を張って紳士然としてモノを選ぶ。とびきり、とびきりエロいやつを。

 

 

 (当然だけど18歳未満の方は買っちゃだめ!なのでリンクは載せてません)

 

twitter.com