よく結婚式のスピーチで「結婚生活には大切な3つの袋があります」と言うけど(実際にそんなスピーチをする人間を見たことはないが)、私はその「3つの袋」とやらがなんなのか、知らない。
どうして袋が大事なのか?
なんの袋なのか?
その袋は各家庭にあるものなのか?
まったく調べ物をせずに、完全なる予想で3つの袋が何であるかと、なぜそれが大切なのかを考え、その後に答え合わせをしようと思う。
ところで袋って多種多様たくさん種類があって、人間が入れるほどの大きい袋から涙袋みたいな小さいものまで、実にバリエーションに富んでいるし、「お袋さん」や「布袋」など実際の袋として機能していないものもある。涙袋も厳密には袋ではないだろう。わからない。袋なのだろうか。袋じゃないだろさすがに。調べ物ができないので、今回の記事では誤った情報が多分に含まれると思ってください。
とにかく「袋」と名の付くものを含めると相当数あるのではないだろうか。その中から3つ選定する。
まずは私が思いつく限りの「袋」を列挙しよう。
・ゴミ袋
・ビニール袋
・レジ袋
・ドンゴロス(麻袋)
・お袋さん
・布袋(ほてい)
・涙袋
・袋小路
・天袋
・袋とじ
・浮袋
・寝袋
・サンタクロースのプレゼントを包んでる袋
・袋叩き
・カンガルーの袋
・堪忍袋
・福袋
・胃袋
・胆嚢
このくらいか。そんなに出てこなかった。
ドンゴロスってゴブリンの部隊長が使っている魔巌石(まがんせき)で作られたハンマー型の古代兵器みたいな響きだけど、麻袋のことだ。これは結婚生活に不要だろう。戦闘用ハンマーであれば必要かもしれないが。そんなものが必要な家庭、嫌だな。
胆嚢は臓器の一つで、「嚢」が袋的な意味もあると思うので追加した。しかし、胆嚢が結婚生活で大切なものか?なにをしてる臓器なのかもよくわからないのに。
一方で「胃袋」は結婚生活で大切な袋の可能性が高い。胃袋は「食事」に繋がるからだ。
生活の質のうえで食事は極めて大切である。毎日コンビニ弁当だったら夫婦仲は冷めてしまいかねない。レンジでチンして弁当は温まっても、人間関係は冷めてしまう。1500ワットの冷却器。
食事がまずいと人間関係は一気に崩れていく。二人で美味しいものを食べることが幸せの一つのかたちだと思うし、またできれば1日一食以上は必ず同じものを同じ場所で二人で食べることは連帯感を生むうえで大切なことだ。同じ釜の飯を食う。それが人をひとつの社会集団に入れる、もしくは社会集団を作り上げる方法でもある。
今どき妻にばかり料理をやらせるのもどうかと思うし、片付けくらい夫がやったらどうだ、という考えもあって、お互いがお互いを思いやり協力をして生活を作り上げていくという想いも込めて、「胃袋」はその象徴として大切だろう。
「胃袋」、第一候補。
次に大切そうなのは「堪忍袋」じゃあないだろうか。
堪忍袋の緒が切れる、なんて言うし、お互いに寛容になって、二人の人間として一つの人生を設計していこう的な。ありそう。
寛容さとお互いへの「許し」は夫婦に限らず良好な人間関係構築に大切なことだ。どうしても許せないこともあるだろうけど、相手のミスや罪を許せることが、すなわち愛、でもあるから。しかし、それはときに「無関心」にも見えるから注意が必要で、冷たい「許し」は愛ではない。優しさだけでなく、相手を思いやった厳しさとそこを乗り越えた許し、が大切なのだ。そういう意味で「堪忍袋の緒」を引き締めることは夫婦生活で大切なことだろう。
「堪忍袋」、第二候補。
あとはなんだろう。カンガルーの袋。個人的に好きな袋だがはたして……。
ゴミ袋も大切そうだけど、ゴミ袋が大切な理由はゴミをため込まず、うやむやをすっきりさせて清廉潔白な生活にお互いがしていこう、隠し事は止めよう、という意味で捉えるならば、どうにもそうなるとメタファーが過ぎる気がするし、「胃袋」「堪忍袋」の話の次元と被る気がしてならない。それに、平和には隠し事や闇もつきものだ。捨てるのではなく、受け止めるべきだ。
福袋はサンタクロースの袋と似ている。サプライズがあると良いのだろうか。
うーん。
わからない。
涙袋が夫婦生活に大切なわけないしなあ。天袋は埃っぽいし。
寝袋。大切そうだ。寝袋を「ベッド」と捉えれば。ベッド、ね。大切じゃん。いろいろするし。ね。だから寝袋。うーん……寝袋……。
と、消去法的に残るのが「お袋さん」だ。
御袋。母親のことだ。夫婦の場合、姑・義母も含む。これはなんかありそうな感じがする。
さだまさしの「関白宣言」という曲でこんなフレーズがある。
お前の親と 俺の親と
どちらも同じだ 大切にしろ
姑 小姑 賢くこなせ
たやすいはずだ 愛すればいい
特に妻にとって姑の存在は厄介で、そうとう厄介な状況をドラマや掲示板でよく見るし、実際に考えただけでも厄介な存在であることがわかる。なにせ母親にとって息子は愛を注いだ大切な存在で、夫よりも数倍・数百倍・数億倍は大切で(個人差はあります)、もうマジ尊い存在なのだろうから、それを奪ったどこぞの女狐がおもしろい存在なわけがない(個人差はあります)。刺す。そう思う姑もいるだろう(個人差はあります)。
でも、たとえば子どもが生まれたときに助けてくれる力強い仲間は出産と子育ての経験者である自分の母親や姑である。姑と良好な関係を築くことができればこれ以上になく頼もしくて、パートナーの扱い方の心得をも教えてくれるだろう。パートナーに対してわだかまった気持ちの相談もできる。そして姑、パートナーの母側から夫に対して、母と息子としてわだかまりを相談したり打診することができるだろう。わからんけど。
義理の父母は縁によって繋がった家族なので、血ではない精神的な繋がりが大切になる。そしてそれはお互いの心持でどうにでもなるものなのだ。どうにもならない場合ももちろんある(個人差はあります)。
こうして3つの袋が選出された。
胃袋・堪忍袋・お袋さん
かなり、アリそうだ。こりゃああるぞ。もし間違えていたとしても、私が結婚式で袋のスピーチをするならこの3つを言おうと思う。
では、答え合わせ。
今回はこちらのサイトを参考にさせてもらった。
このサイトによると大切な袋とは、「給料袋」「胃袋」「お袋さん」「堪忍袋」だそうだ。
おい。
4つあんじゃねーか。
しかも私が挙げた袋、正解してるし。一番つまらないな。
昔から言われていたのは「給料袋」「胃袋」「おふくろ」らしくて、最近になって「堪忍袋」もランクインしたらしい。たしかに今どき給料袋を使う会社なんて地方の小企業くらいだし、あまりピンとこない袋ではある。
「給料袋」とは要するにお金を稼いでしっかり管理しろ、ということらしい。たしかにかなり大切だ。現実的に。
他にも調べてみると「金玉袋」とか「池袋」とか芸人がスピーチしたふざけたものもあって、おもしろい。袋のことを演説するなら、使い古されたスピーチネタだからパロディにするのがいいだろう。
時代ごとに大切な袋は変わっていることがわかった。大切な袋の選定から、その時代の夫婦生活のあり方が見られるのも面白い。昨今は同性婚であったり、結婚せずに同棲をずっと続けたり、夫婦別姓などパートナーとのあり方に多様性があるから、また袋の種類は変わるかもしれない。
そのうち古代兵器ドンゴロスがランクインする時代も来るかもしれない。来ないでくれ。