蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

自己啓発セミナーで死にたくなったっス

  日の研修で、どうやったら企業の代表取締役みたいな「ビッグな人間」になれるか、そういう人たちは凡夫と何が違うのか、をレクチャするセミナーがあって、要するに自己啓発セミナーだったのだけど、それを2時間も受けたらすっかり人生を辞めたくなってしまった。

 

    私は臆病な人間で、初対面の人間は全員憎むことにしている。いつ刺されるかわからないからだ。

    街を歩いていても、独りだと気を張っている。どこにテロリストがいるかわからないからだ。高校生のときに街を独り気を張って歩いているところを先生と偶然会い、「これから人でも殺すんか?」と言われたことがある。

    周りの人は私をなんかヤベェ奴だと思っているかもしらんけど、ヤベェのは皆の方だ。どうしてそんなに脳天気に、自分が殺されないとでも思っているのだろう。満員電車に乗ったらいつ痴漢冤罪になるかわからないし、人混みはナイフを振り回す奴が出るかもしれないし、交通量の多いところはトラックが突っ込んでくるかもしれない。初対面の人間は、腹の裏で黒いことを考えているかもしれない。

    このように、私は小心者なので、常にビビってる。はっきり言って気が狂いそうだ。もう狂っているのかもしれない。手遅れなのかもしれない。

 

    さて、ビッグな人間になるには、人を惹きつける運が必要だと言う。そして、人を惹きつけるには、笑顔が必要だと言う。なおかつ、笑顔を作り出すにはコミュ力が最も重要らしいと言う。

    まるでダメじゃないか。  

    なにせ私は初対面の人間を、刺す、と思っているのだ。笑顔なんてない。夜叉だ。夜叉迷路だ。

    それで、警戒心がとけたら今度はコミュ力に問題が発生する。とにかく相槌が苦手なのだ。なんて反応したらいいのかわからなくて、終いには「ぱや~」とか「ほよよ」なんて反応をしてしまう。完全にヤベェ奴だ。

    私はこれまでの自分を鑑みて、ショックを受けた。私はビッグになれない。永久に凡夫なんだ……。

    でも、よく考えないまでも、私は別に偉くなんてなりたくない。面倒臭いじゃないか。こちとら平成生まれの冷奴男子、向上心と自己肯定感の充足よりも、世界が滅ぶことを祈ってる。

    ただ、ふつうに生きていくにしても、やっぱりお賃(ちん)は良く欲しいわけで、それにはやっぱり出世、するしかなく、出世、するにはスキルもさることながらコミュ力が必須だろう。

    できるだろうか?私に?

    自然な笑顔すら作れないのだ。人の話は聞いてて面白いし、興味深いのだけど、どうしても笑顔にはなれない。そうとう仲良くならないと笑顔が出てこない。

    私は隣の席の人と喋るとき、笑顔を努めた。慈悲深い笑顔。「麗子微笑」みたいな笑顔を努めた。

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    ダメだった。

    彼は今日一日ずっと私と話していたのに、帰りは挨拶もせず他の人と帰ってしまった。

    麗子、泣く。

    たぶん、無理やり作った笑顔がバレていたのだろう。私に問題があったのだ。

 

    帰り、独り街を歩いた。頬の筋肉が痛い。春なのに寒い。

    私はこうまでして、生きるために生きたくない……。衆生の救済は死後の極楽浄土にあるのだ……。帰ったら念仏を唱えよう……。

 

    でも、下北沢で見た夕日がとても綺麗で、なんだか元気になった。アニマル的な単純さだ。

    このときの私は、ナチュラルな笑顔で。独り。

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