蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

聞こえない鹿おどし

    近、家の近所でモスキート音が一定の周期で流れてる。

    鹿おどしみたいに、およそ10秒に一回、キーーーーーーーーーーンと流れるのだ。

    なんだろう。

 

    ある周波数以上は20代以降に聞こえなくなるという性質を利用して、入口や広場でモスキート音を流し、不良などの素行の悪い若者がたむろしないようにしている、なんて施設が近頃よくあるけど、おそらくそれと似たような装置なのだろう。

    名付けて若者おどし。

    うちの近所は発砲事件が起きたり夏は暴走族がウロウロしたり物の怪の類が徘徊するので、たしかにこれは効果的と思われるが、その家の前を通勤路にしている私にはちょっとつらい。

    反抗心があるから、あえてそこでたむろしてやろうか、と思ったりする。蛾やカブト虫を連れて。

    もしかしたら害虫避けでもあるのかもしれないね。

 

 

    子どもの時にしか聞こえない音域。

    なんとなく調べたら、1,7000Hz以上は子どもにしか聞こえないらしい。耳の発達の都合上、不思議だけどそういう仕組みになっているのだ。

    私はまだまだそういった音が聞こえるので、子どもだな。どおりで学生気分が抜けてないわけだ。

    トトロは子どもの時にしか見えないのと同じで、この超音波な音域が聞こえるというのは、不快な一方で誇らしくもある。生涯現役だもんで。そう言いたくなる。

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    ビートルズの『サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』というアルバムの最後の曲「A Day In The Life」では、曲が終わってしばらくすると犬笛が鳴らされる。

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    この犬笛は超音波域にあるので、たとえば大人になってからビートルズにハマった人は、この犬笛の音が聴こえなくてヤキモキするのだろう。なんの意味もない、遊び心で入れられた数秒の犬笛が聴こえる人に嫉妬すらするかもしれない。

    私はまだこの犬笛が聴こえる。

    この音が聴こえると、アルバムが終わったんだ、と感慨を抱く。

    そして、自分がまだ子どもであることを自覚する。

 

    ジョンかポールかあるいはリンゴかわからないけど(ジョージはそういうことをすら人ではないと信じてる)、彼らの遊び心に、まだ胸を踊らせられるのだ。

    まあ、それはファンであれば皆そうなんだろうけど。

 

    ロックファンは永遠のキッズさ。誇れ。