社会人になって2ヶ月が経ち、まだ研修中だけど少しずつ業務も覚えてきて日々成長を感じてる、と書ければよかったのだけど、実際は全然わかってないのに、わかってる感じを装って「ほほ〜う」とか「なるほど、ですね」とか「はーん」などとムカつく相槌を打ってばかりいるので、実際の業務に出たら、何も身についていない私は死ぬでしょう。余命半月。南無三。
人間関係での成長も著しくて、毎週同期と飲み会に行ったり、この間は休みの日にラウンドワン行ったし、お盆には箱根行くか〜なんて話もしてるから、研修がすごく楽しくて、まじ今後の業務で会えなくなったら辛いんだろうな、と書ければよかったのだけど、実際は日中の私は石仏となっており、喋ったとしても人との距離のはかり方が苦手すぎるせいで、隣の席の人と仲良くなったと思って、先日私は「鬱気味になったときは鬱に埋没するのを防ぐべく住宅街をWANIMAみたいな笑顔で歩くことで無理やり気分を晴らすといい」というライフハックを実践してる話をしたところ、マジでドン引きされてしまった。WANIMAも哀れである。
突発的に変なことを呟いたり、「おかしみのない」ということが可笑しかったりして笑ってしまうので、今のところ仲の良い同期は一人もいない。
話したりはするけど、私の友達にまでなる人はいない。
淋しくない。慣れてる。
まあでも、知ったかぶりをして自爆したり、友達がいないことは昔から得意で、なにも社会人になって堕落した部分ではないため、平常運転と言える。脱線もしてないし逆走もしてない。
むしろ、それ以外の点において、私はたしかな成長の手応えを感じているので、自慢したいと思う。
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たとえば、朝の超満員通勤電車の座先で眠れるようになった。
今までは座れていても周囲の人間の圧迫感に気圧(けお)されて眠ることができなかったのだが、最近は気にならなくなったのと、朝の通勤電車で眠ることが人生の数少ない愉しみになってきたこともあって捗っている。これは成長だ。
だいたい、周囲の人間のほとんどは眠っているのだ。好きなだけ眠ればいいし、夢を見ればいい。そして乗り過ごすといい。乗り過ごして、みんなで笑って、草原で発泡酒を飲み、肉を焼こう。歌おう。
また、最近満員電車と片道2時間の通勤に慣れてきて、ちょっとやそっとのことで弱音を吐かなくなった。
以前だったら満員であることに対して、ナチスに迫害されたユダヤ人のように怒っていたけど、今ではそんなことでは怒らなくなり、環境に適応できた感がある。
人間は適応できる動物なのだ。
遅延したらそれに怒るのではなく、遅延を見越して行動すればいい。たとえ電車が逆走しようが脱線しようが、あらかじめ遅延を予測できていれば問題ないのだ。
無駄に怒ることは、業務で割きたいエネルギーを消費することになる。無駄無駄。
あと、お昼ご飯は毎日、外の神社の境内の日陰で隠れるように食べているのだが、最近は昼代を500円以内におさめることに成功している。
安い弁当屋を見つけたのだ。
量も多くて、もちろん美味しく、種類も豊富なので飽きない。こういった良コスパの店を探し当てることができたのも、友達がいないために昼休み研修室に居場所がなくて外を歩き回るしかなかったことの、ひとつの恩寵である。独り最高。いつも最高最低最高最低。
そして、忙しそうにサボる術を身につけた。私が社会人になって最初に身につけたスキルである。
なにか調べ物をしているようでいて、実のところ画面上で目を動かしているだけで、エロいことやそうでないことを考えている毎日。
多くの物事は大きくて多いほど嬉しいものだけど、おっぱいだけはそうじゃないよな、なんてことを今日は1時間くらい考えてやり過ごした。
これからも暇な時間はたくさんあると思う。活用したい。
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私は日々成長して、立派な社会人になろうとしている。
肉体が、精神が、社会に適応しようとしている。
あとは、こんなことではいけないな、と思える人並みの心を身につけられたらいいのだけど。