「ポケットモンスター」シリーズに関しては、私は同世代の中では「中学までアフリカに住んでたからポケモン知らないんだよね」ってレベルで知らない。
実際には日本の海辺の町で暮らしていたのだけど、それなのにポケモンのことを無垢のように知らない。
イーブイ。
以上三名。起立。
このくらいしか知らないのだ。名前は知らないけど顔は見たことあるってポケモンは多数いるが、それでもまだハプスブルク家の肖像画で名前を当てる方がわかるだろう。
カルロス2世である。
思い出した。
ルギア。
メタモン。
ニャース。
ピチュウ。ライチュウ。
なんだ、結構知ってるじゃないか。さっきは嘘をついたね。私はインターネットですぐに嘘をつく。
以上九名。起立。
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ところで気になったのだが、ピカチュウという名称は、なぜつけられたのだろうか?
「電気でぴかぴか光っているからピカチュウなんだ」と答えた愚賊の相手はしないとして、この名称問題が問題たりえるのは、ピカチュウが「ピカチュウ」と鳴くことに起因している。
ピカチュウの第一発見者が「そうだ、こいつは『ピカチュウ』と鳴くからピカチュウと名付けよう!」と思い至って名付けたのだろうか?
そうじゃなかったら大変困ることになる。
先のように「電気を帯びて光るさまがぴかぴかしているネズミだから、ネズミの鳴き声と合わせて『ピカチュウ』と名付けよう」となった場合、問題が生じるのだ。
それは、なぜ『ピカチュウ』と名付けられた生き物が総じて「ピカチュウ」と鳴くのか?という問題である。
だっておかしいだろ。
じゃあ名付けられるまでいったいなんと鳴いてたんだ?
ポケモンは人語を理解しているので、ピカチュウと名付けられたらその””個体””は「ピカチュウ」と鳴いて媚びを売ることくらいワケないだろうけど、その””個体””はともかく、どうして野生のワイルドピカチュウまでピカチュウと鳴くことができようか。いや、鳴けるわけない。
と、論理的に考えるとピカチュウは「鳴き声が先」ということになり、議論は終了するわけだが、それにしても「ピカチュウ」という名称はかなりしっくりきている。だって、鳴き声と特徴があまりにもハマっているではないか。まるで狙ったかのようだ。どうやらあちらの世界の神は「そういうの」が好きらしい。
というのも、他のポケモンにしたってその名称のままに鳴くのだ。
たしか、淡い記憶を頼りにするとイーブイも「イーブイ」と鳴くし、ライチュウも「ライチュウ」と鳴く。
ニャースとミュウツーは人語を喋るから論外として、リザードンも「リザードン」と愚直に鳴くんじゃないかな。
いや、愚直なのは人間の方だ。
なにせ、鳴き声のまま名付けているのである。
たまたま鳴き声と特徴が近似値を示しているからそこまでの違和感はないけれど、もし仮に鳴き声と見た目の全く異なるポケモンが発見されたらどうするつもりだろうか?
たとえば「うんこ」と鳴く白くて美しい猫みたいなポケモンがいたら、「うんこ」と名付けるのだろうか?「うんこキャット」と名付けるのだろうか?
このように、鳴き声で名付ける法則はあまりにも危険である。
まったくあちらの世界は論理が破綻しているとしか思えない。
でも許されるのはあちらの世界がアニメの世界だからで、神とは作り手の人間のことであり、そんな人間が特徴に似せた名前を考えそれを鳴き声にしてしまえと采配しているのだから、なんにせよ人間とは愚直なのであり、そこが愛しい。
いや、別に愛しくないな。
私はインターネットですぐに嘘をつく。