蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

チャーミングをつけねらえ!

 顔が見られるだけでホッとするのはなぜだろう。

 誰かの笑顔を見ると心が安らぐ。あまり笑わない人が口角をゆるませるのを見ると、かたくその身を閉じていた蕾がひらくように、ふわりといい匂いが広がる心地がする。

 とくに、女の子の笑顔はたまらない。

 私は女を笑わせるためだったら裸にだってなる。きっと極彩色の悲鳴にも似た声が聞けるだろう。

 女の子のどこがいちばん良いかって、お尻おっぱいはもちろんだけど、やっぱり笑顔がいちばん良い。チャーミングだ。

 チャーミング(charming)という言葉は黄色く光っているイメージがある。チャ、という音そのものが、ポップコーンが炸裂するような幸福感と楽しさを持っているし、mの音はまろやかで優しいものをイメージさせる。穏やかな月みたいだ。

 

 なぜ女の子の笑顔はとびきりチャーミングなのだろうか?

 それは平和の象徴に見えるし、心の隙を見せてくれるようでもある。とにかく結婚式場みたいな光がそこにはあって、ステンドグラスのような鮮やかな影が差している。

 隙?

 笑顔はもしかしたら、なのではないか。

 心から笑ってくれるということは、その心を開いてくれたということだ。仏壇の扉のように開いてくれたその心に飛び込んでいけそうな気さえする。

 結局のところ、セックスにしたってそうだけど、私たちは他人と肉体的な繋がり以上に心的な繋がりとその開示を求めているのかもしれない。誰かの心に触れて自分というものを確かめたい私たちは、だから文学という人間の内奥に迫る芸術を生み出したのかもしれない。他人の中にいる自分に触れてみたいのかもしれない。かもしれないが多いかもしれない。

 

 そんなかたいことは抜きにして、女の子の笑顔は素晴らしい。

 男は女の笑顔の為ならどんな醜いことだって陰でする。

 でもいかんせん、男は女を泣かせることの方が得意みたいだ。

 

 

 男の笑顔だってチャーミングだ。

 口を開けて声を出して笑っている人を見るのは、男女問わず気持ちがいいものだ。

 私は人を笑わせることが好きでよく失笑を買うのだが、運が味方してくれれば本域に笑わせることもできる。

 今日は職場で人を笑わせることに成功した。私は職場では大人しいキャラで通っていて、つまらないことしか言わない男だと思われているので、嬉しかった。

先輩(女)「蟻迷路さんは、電車で舌打ちしながらぶつかってきた人に対して、どう思う?」

「殺す」

 どっとウケた。

 職場で「殺す」と言ってウケるなんて、とっくにあそこは「終局」なのかもしれないな。

 

 

 笑顔は人に与えて減るものではないし、周りの人の気分をよくするので、できるだけ笑顔であるように努めようと思う。

 しかしそういうつもりで虚無を見つめながらニヤニヤしていると、「何を考えているの?気持ちが悪い」「溺れてもがき苦しむ猫を見ているサイコパスみたい」「危ない人」「笑うな」などと言われるので、時と場合が肝要。