蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

キリンの赤ちゃんの死

  事中、こそこそサボりながら職場のPCでYahoo!を見ていたところ、気になるニュースが目に入った。

    旭山動物園のキリンの赤ちゃんが、事故で死んだというのだ。

 

    どういうことだろう。交通事故だろうか。飯塚K三みたいな老人にはねられたのだろうか。意味がわからない。どうして動物園の中にプリウスが走っているものか。旭山動物園はサファリパークみたいに車で乗り入れる動物園ではなかったはずだ。……でも、耄碌した老人ならプリウスで動物園を爆走しててもおかしくないな。さまざまな予想を遥かに、ともかくその記事を開いた。

    すると真相は、金網に角が引っかかって、首の骨を損傷し、亡くなったとのことだった。

    

キリンの赤ちゃん事故死、北海道 旭山動物園、金網に角絡まる(共同通信) - Yahoo!ニュース

 

    かわいそうだと思った。

    もうすぐ1歳だったのに、こんなことで死ぬなんて。

     動物園だってこんな事故は予想しなかったろうし、対策だってあったはずだが、それでも事故は起きてしまった。

    かわいそうに。

 

    だけど私は現在大絶賛お仕事おサボり中であり、結局のところどっかのキリンが死んだって私には関係のないことで、刹那に悼むことくらいしか心を割いてる余裕はない、サァさ、仕事仕事、と、頭を切り替えたはずであったが、ふつふつと目頭に涙が溜まるのを堪えられなかった。

 

    あまりにも、かわいそうだ。

 

    キリンの赤ちゃんは痛かったろう、苦しかったろう、怖かったろう。パニックになって余計に首を傷めてしまったのだろう。そりゃパニックにもなるさ。赤ちゃんだもの。

    キリンのお母さんは、世界が終わるほどの悲しみに打ちひしがれているのだろう。命がけで産んだ子どもが、あっさり死にゆくところをどういった気持ちで見つめていたのだろう。自分の無力を嘆いただろうか。

    飼育員は……やっと産まれたキリンの赤ちゃんに手塩をかけて育てていたのに、思わぬ事故で喪い、その事故だってこうなる未来を知っていれば防げたものを、どうして配慮が行き届かなかったのかと遣る瀬無い気持ちだろう。

    

    どんな生き物であれ、赤ちゃんが死ぬのはつらい。

    神さま、なにも殺さなくたっていいじゃないか。

    動物園の中で生きていくくらいなら死んだほうがマシだと、神様はお慈悲をくれたのだろうか。だとしたらよっぽど頭の悪い神だ。神はいつだって独りよがりである。

    

    その場で涙を流すわけにはいかなくて、オフィスを出て、喫煙した。

    悼む時間は煙が立たなくなるまで続いた。

 

 

 

    それにしてもサボりすぎである。でもいいのだ、3時間半残業したから……。