蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

十種競技に挑んでみた!

  世界陸上にラグビーにバレーボールに……観戦に忙しい日々を送っている、と書きたいところだけど気まぐれに見るだけで専ら本も読まずマリカツアーをやっている私。

 そんで気まぐれに見た世界陸上で「十種競技」をやっていた。

 十種競技とは、跳ぶ、走る、投げる、陸上の鉄人がやる過酷な競技である。

 思えばそれらはすべて人間が野生の頃からやっていたことのすべてであり、十種競技の金メダリストは野生の人間の中のエリートと言えるだろう。

 だけど、見ていてなにかちょっと物足らないのはなぜだろう。

 それぞれ競技を極めるのではなく、得意分野を見分けつつオールマイトにバランスよく得点を取ったものが勝者であるこの競技は、他人と競ってはいても、どこか自分自身と戦っている側面が強い気がするのだ。

 

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 自分と戦うと言えば、私だって毎日自分の影と戦っている。

 過酷である。

 あらゆる怠惰を跳ねのけ、欲望を投げ捨て、毎朝電車に乗り遅れないように走っている。

 これはもう、十種競技だ。

 そこで、私が今日やった十種競技を挙げようと思う。自己肯定感を高めよう。

 

1.起床

 これはスタートにして最も過酷な競技である。どんなに眠くても、怠くても、起きて歯を磨き着替えなければならない。そう、起きるだけではなく「準備」もこの競技には含まれているのだ。

 今朝はひどく頭が重くて、体も底の方が寒く、休もうかと思った。

 だけど出社した。偉い。不思議なもので、出社すると治る。

 

2.通勤

 これは肉体のぶつかり合い、肉弾戦である。

 満員の電車に体をねじ込んで、息を止めるようにして人々の隙間で1時間近く耐え忍ばなければならない。

 「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び……」

 そうしてようやく行きたくもない仕事に行くのだ。何の「刑」だまったく。

 

3.メールチェック

 会社のメールはOffice365というソフトを使っているのだが、マイクロソフトがこれをアップデートしてから使いにくくて仕方がない。

 朝PCを立ち上げるとおよそ100件のメールが溜まっていて、それらを使いにくい、すぐにフリーズする環境でひとつひとつ読まなければならない。効率低下も甚だしい。

 だけど読まなければ先へ進めない。

 感覚としてはマラソンに近い。

 

4.電話応対

 朝からわけのわからないPCトラブルやネットワーク障害の電話がかかってくる。

 相手がコンピュータを多少知っている人ならいいのだけど、大抵はOSがなんなのかもよくわかっていない一般人で、何を言っているのか、何をしたいのか、何が起こったのか明確に明瞭に説明できる人は少なく、要領を得ない。

 それを、介護するような気持で、相手を怒らせないようにひとつひとつ話を敷衍して、解決へ導く。

 慣れれば楽しくもある競技だ。

 

5.新人教育を傍らで聞く

 9月からうちのデスクに派遣の新人さんが入った。20代後半の女性だ。

 この方が、社会経験もあるのにもかかわらず仕事のできない人で、なにもかも要領が悪く、覚えも悪く、教育係の先輩は常にイライラしている。

 だけど、仕方がないとも思う。私だって初めはあんな風になにもできなかった。社会経験も0だったし、ここに来た当初はOSのことすらわかっていなかったのだ。

 それにしても、彼女はここに来て一か月以上が経っているのに、まだここに来たばかりのようにまったく仕事の容量を掴んでいなくて、無駄な残業ばかりしている。

 なんなんだ。

 そして先輩の言う一言がちくりと私にも刺さる。

 先輩方は、彼女を通して私にもイヤミを言っているのではないか?そう錯覚する。ピリピリした空気がここ最近ずっとあって、居心地が悪い。

 

6.段ボールを跳ぶ

 倉庫管理をしたのだが、段ボールが散乱しており、それを跳び越えた。

 「若いねぇ」と笑われた。

 若いのだ。

 

7.顔が腫れる

 よくわからないのだけど、顔や首の皮膚が赤くなりやすい体質だ。

 疲れていると、温度変化や汗を掻いただけで痒くなってしまう。

 金曜日、疲労はピークに達している。すぐにでも羊水の中へ帰りたい気分だ。そんなとき、私の皮膚には斑点が現れる。

 「なんか赤いけど、刺された?」

 そう言われて、ああたまになるんですよ勝手に治ります、と言うしかない。勝手に治るまで気にしたら負けだ。掻いても治るものではない。

 

8.定時ちょうどの電話

 午前中に電話をかけた相手から、私の定時帰宅時間ちょうどに電話がかかってきた。

 こういう時は、顔をしかめて、背負った鞄を下ろして、電話に出るしかない。はやく帰らせてくれ。金曜日なんだぞ。罪深い電話だ。

 

9.帰宅ラッシュ

 これは競技「2」の反復である。しかし、このとき体力は「2」よりも格段に下がっているため、よりハードになる。周りもいっそう殺気立っている。

 なるべく何も考えないようにして、本を読む。

 

10.ブログを書く

 帰宅して、ひじょうに疲れている。

 もう何もしたくない。呼吸すらしたくない。

 だけど、ブログを書くためにPCを立ち上げて、何も書くことがないので世界陸上にかこつけて「十種競技」と称した、くだらない一日を書き綴る。

 最初こそ面白いと思ったが、だんだん尻すぼみ不幸になってきて、「10個も書くことないよ……」と弱気になる。尻すぼみ不幸とは、しりあがり寿の対義語である。

 それでもなんとか書き終えられそうで、安心している。

 2000文字以上になってしまった。ちゃんと読む奴いないだろこんなの。

 

 

 10種の競技を終えた感想は、まだ書けない。

 このブログが10競技目だからだ。まだ終わっていない。

 

 終わったら、何も考えず、世界が滅ぶのを待とうと思う。ビールでも飲みながら。