蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

野菜が強さの秘訣

  昔スパイダーマンという映画で見たのだが、主人公の「スパイダーマン」ことトム(もしかしたらジョンだったかもしれない。あるいはマーティンだったかもしれない。忘れた)が背後から飛んでくる自動車を跳び越えるシーンがあった。

 何を言っているのかわからないだろうけど、とりあえず落ち着いて読んでほしい。トムだかジョンだかは常人ならぬ跳躍力をもって、自動車を跳び越える。世の中とはそういうものだ。

 それを目撃した小学生がトム某(なにがし)に駆け寄ってきて、「うわぁ、すげぇ!」と感心する。「どうやったらそんなことできんの?」と。

 そこでトム某はこう答える。

 「好き嫌いせず、野菜を食べることだ」

 

 

 真理だ。

 

 

 野菜を食べると強くなるのは、大昔のアメリカアニメ「ポパイ」で証明済みであるが、私はさいきん、身をもってその野菜の力を痛感した。

 といって、野菜を食べて豪腕になったわけではない。

 

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 先週、私の食生活は山賊のソレだった。

 毎日のようにファストフードを食べ、肉ばかり食らい、野菜をはじめとするビタミンをほとんど摂取しなかった。

 「豚肉はビタミンBが豊富にあるからほとんど野菜だな」と誤魔化していたし、食べた野菜といえばポテトとしなびたレタスくらいのものであった。

 ポテトは炭水化物だし、レタスは冷蔵庫に一か月ほど放置していただければお分かりいただけるだろうが、あれの主成分はほぼ水分であり、栄養なんてほとんど無いに等しい。ちなみに一か月放置すると液状化して野菜室から「消える」。さらにちなむと、キュウリも同じように「消える」。

 

 一週間、山賊生活をしてどうなったか。

 私の肌は荒れまくり、腹の調子の悪さ、それから不眠、なにかと短気になり空を睨むようになって心が荒み、独り言を繰り返す、かと思えば独り街中でニヤニヤする、虚言、失禁、などなど、およそ一般男性とは思えない体たらくになった。

 まぁ後半は嘘だけれど、ともかく先週一週間は日が経つにつれて体調がどんどん崩れていった。

 週の終りにそういえば野菜を食べていないことに気付き、朝、コンビニでチョコラBBを買い飲んだ。取り急ぎビタミンを摂取する必要があると思ったのだ。

 小一時間して尿意を催し、ビタミンが全部出たんじゃないかってくらい濃い尿が排出され、これはいかん、やはり野菜を食べないと駄目だと、仕事帰りにサラダを買って食べた。

 それから野菜を食べるようにしたら体調が戻った。

 それはちょうど土曜日のことであった。仕事は休みだ。 

 

 あるいは、仕事が休みでストレスフリーになり体調が戻ったという説もあるけれど、それだと論旨がブレるのでここではひとまず置いておこう。

 野菜は大事だ。

 肉はパワーの源だけど、野菜はメンテナンスの源だと思う。どちらかに偏ってしまうことは身体を蔑(ないがし)ろにしていることと同じだ。

 雑食動物として、バランスよく摂ることが自然の摂理である。

 野菜は食べなきゃいけない。

 

 ポパイがほうれん草を食べて豪腕になるメカニズムは不明とされているし、野菜を食べたからスパイダーマンのように自動車を跳び越えられるわけはないのだが、少なくとも、野菜を食べないと強い肉体作りはできないだろう。

 アメリカのマンガはそんなことを教えてくれる。

 ちなみに、アメコミが伝えたいことのすべてはそれだけである。