まいにちテレビアニメ『一休さん』のオープニングテーマを聴いているのだが、聴けば聴くほど面白くて笑ってしまい、ふと我にかえって死にたくなっている。
初手の歌詞が「すきすきすきすきすきすき 愛してる」である。
なぜ?としか思えない。
なぜ一休さんを愛しているのか、という野暮な疑問ではなく(なぜなら愛に理由はないので)、なぜ『一休さん』の作品世界で「愛してる」という歌詞なのか、という疑問である。
聴いてて恥ずかしくなるくらい「好き」を連呼して「愛してる」まで言う。アメリカ人かこいつ。
つい調べちゃうくらい謎めいている。
しかし天下のGoogle先生でもこの疑問の解決は示せなかった。
自分なりに解釈しなければならない。だけどそんなことにエネルギーを使いたくないし、そんなことに使うエネルギーは残っていない。こっちはぎりぎりで生きてるんだ。
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一休さんのストーリーには一定の型がある。
お殿様がひねくれる→新右衛門さんが困る→一休さんに相談→トンチで解決
これだけである。アニメを見たのは10年以上前のことなので記憶があいまいなのだが、覚えている限り、これ以外のストーリーはなかったように思う。その他のキャラクターは有象無象で、人物関係を簡略化すると、一休さん、お殿様、新右衛門さん、の3人でストーリーは成り立っているのだ。記憶があいまいすぎるが。
この基本的な型に対して、歌詞は「好き好き大好き超愛してる」状態だ。
たぶん、歌詞を書いた人は一休さんがなんなのかよく知らなかったのだろう。
プロデューサーに「子どものお坊さんがトンチで大人をひれ伏す話です。歌詞を書いてください」とでも言われたのだろう。
もしくは、泥酔状態で歌詞を書いたのかもしれない。あるいは、7日間一睡もしていなかったのかもしれない。
ともかくそのくらい「すきすきすきすきすきすき 愛してる」は一休さんの作品世界にそぐわない。
なんなんだ一体。
「一体さん」だもはや。
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一休さんOPテーマで私が好きなのは後半である。
文字に起こしたので心して読んでほしい。
アー アー なむさんだ
とんちんかんちんとんちんかんちん
気にしない 気にしない
気にしない 気にしない
のぞみは高く 果てしなく
わからんちんども とっちめちん
とんちんかんちん 一休さん
どうだろう、すごいと思わないか、この「南無三」感。
諦めからの、無駄に湧き起こる自信、そして混乱が如実である。
とても頭の回転でやりくりしていく話とは思えない。
とくに「わからんちんども とっちめちん」の意味が不明である。「ちん」が多すぎる。なんなんだ。
とにかく作品の世界と合っていない。
出家の苦難がまったく語られていない。(ちなみに出家の悲しみはエンディングで歌われている)
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アニソンは語感やノリやテンションが重視されるため、歌詞が破綻していることが多い。
「おどるぽんぽこりん」を書いた さくらももこは天才である。しらふで書けないあんなの。天才だ。
最近は、そういう歌詞を探しては笑い、ため息をついては心臓がきゅっとなるのを誤魔化している毎日。