仕事が本当にきつくて、一日に9万回くらい、やめようかな、と思ってる。
一日に9万回も暗いことを考えていると、心が駄目になるというか、もはや肉体にダメージが及ぶようになり、胃痛、頭痛、下痢、蕁麻疹などが出始める。
気を抜くと涙が出そうになり、でもなんか泣けないので、なにか大きな毛皮のある動物の腹に顔をうずめて本当はわんわん泣きたい。
仕事をしていない時間に仕事のことを考えてしまうことほど無為なものもない。
仕事で悩む時間は、給料の発生する勤務時間だけでいいのだ。
ただ、仕事の内容そのものよりも、自分の無力さやかったるさや怠さ、やり残してしまったこと、逃げてしまったことへの不安、将来よりも明日の不安などで、なにも音のしない部屋にいると圧し潰されそうになる。
じっくりじっくり、ビーカーの中の空気を抜かれていくように部屋で息苦しくなり、漬物石を積まれていくような重みが全身を襲う。
今週の私は精神的にかなりキテいて、部屋にいる間、読書もせず、文章も書かず、音楽も聴かず、ひたすら、ただひたすらに「匿名ラジオ」を聴いていた。
匿名ラジオとは、webメディア「オモコロ」がYouTubeに配信しているラジオコンテンツで、ライターのARuFaさんとダ・ヴィンチ・恐山さんがパーソナリティを務めるオモシロラジオなのである。
「俺達はドラえもん御一行にどんな冒険を提供できるのか!?」とか、「名探偵コナンの捜査を効果的に妨害する方法とは?」などの「ない話」をはじめとして、「ウソ寝言グランプリ」や「イオンに泊まるとしたらなにをしたいか」などのまったく役に立たない、面白いだけの話をひたすらしてくれる。
中身がなく、聴いたところでなにも勉強にはならず、無心になって聴いていられるほど面白いだけで、ただそこには救いがある。
やつれた心をとりあえず麻酔して痛みを忘れさせてくれる、癒しがある。
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笑いには邪気を払う力がある。と信じている。
難病で死を宣告された患者もお笑い見て笑っていたら奇跡的に回復した、なんて話を聞くこともある。
日本では江戸以前から「エロ」と「笑い」が邪を祓う効果のあるものであると信じられていたことが、多くの浮世絵や資料から散見される。エロと笑いの真面目をコケにしたような馬鹿馬鹿しさに、邪も気を削がれてしまうのだ。
火曜日の夜、特に精神が参っていて、寝る前に「匿名ラジオ」をYouTubeで流し、朝起きたら自動再生になっていたらしくてずっと流れっぱなしになっていて笑った。多少は邪を祓えたみたいだった。
甲本ヒロトが言ったか忘れたけど(マーシーだったかもしれない)、噂なんだけどさ、「すげー死にたくて、もう自殺しようかなって夜に、松本人志がテレビで馬鹿やってて、大笑いして、そんで、もう少し生きてみようと思った」らしく、それで作った曲がハイロウズの『日曜日よりの使者』だったとか。
水曜日のダウンタウンを観ながら、そんなエピソードを思い出した。
松本人志が笑いを取ると、浜田がいちばんよく笑う。なんかそこには幸福がある。
気がつけば私も、もうすこしの辛抱だ、と前を向いていた。