蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

断片集

  いつもと趣向を変えて、「断片」を今日は集めた。

 ブログで1記事にするには短く、Twitterで呟くには長い「断片」だ。

 

 私は不要不急のツイートはしないため、フォロワーから謎多きタキシード仮面様だと思われているかもしれない。

 前に別アカウントを作って日常の思ったことや下ネタを呟いていたのだが、そちらを消そうと思ってログアウトしたらパスワードもメアドも忘れてしまい、電子の海にアカウントを残したまま触れることができなくなってしまった。

 ときどきそのアカウントのことを思い出してゾッとする。

 なんだろう、江戸川乱歩「芋虫」に出てくる、四肢を失い視力も聴覚も声も失った主人を彷彿とさせる。あのアカウントにはリプライを送っても、DMを送っても、もはや誰も見ないしなにも返ってこないのだ。「存在」だけの存在なのだ。

 自然凍結を待つしかない。インターネッツはとても寒いところだから、2年くらい放っておくと自然凍結するらしい。

 

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 在宅業務になり、起きてすぐに仕事ができるのはいいことでもあるけど最悪でもある。通勤は面倒だけど、けっこう気分の切り替えになっていたんだと気付く。

 なんか在宅は、プライベートに仕事が侵食してきている感じがある。

 自分の机で仕事をしていて、今まではそこで自分のパソコンに向かってブログや愚にもつかない散文をしたためていたのだが、在宅になった今、仕事終わりに自分の机に向かう気がしなくなった。

 なぜならそこは”職場”だからだ。

 ふざけんな。

 だから今この記事もベッドに寝転がって書いている。

 

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 よいウィスキーって突然どこかから発掘されて、気付いたらリビングの物置や棚の上に鎮座しているものだ。

 例によって気付いたらなにやら良さそうなウィスキーが物置台の上に鎮座していた。深いグリーンの箱に入っていて、金色の文字が刻んである。「スコッチ」らしい。

「どうしたのこれ?」母に訊いた。

「なんか、出てきたのよ。いいよ飲んで」

 よいウィスキーとはそういうものだ。最初からそこにいたみたいに、気付いたらそこにいる。理由も未来もなく、結果と過去だけを引きずっている。

 

 口当たりがとろりとまろやかで、第一印象は「甘い」だった。

 だけど、喉の奥にするりと流れ込むと溌溂とした一種の熱のような風が吹いた。

 口に馴染む割にやや大げさな存在感すらある。うまい。

 ウィスキーを飲みながら、レコードでビートルズをかける。

 村上春樹かよ。

 

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 ビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド』を聴きながら。

 このアルバムは「コンセプトアルバム」といって、ひとつのコンセプトに則って作られた世界で初めてのアルバムだ。

 『サージェント~』ではビートルズが「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド」という架空のバンドに扮して「無い曲」を演奏するコンセプトになっている。

 このコンセプトの思い付きが面白くてその勢いで作ったのかと今まで思っていたけど、あらためて聴いてみるとそうではないかもしれないなと思った。

 たぶん、ビートルズは「他のバンドになる必要性」があったのだ。おそらく彼ら自身のために。彼らの音楽のために。

 

 細かく考えたことを書いていると「断片」ではなくなってしまうからよしとこう(決して面倒くさいわけではないよ)。

 

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 この期に及んでまだ休日に出かけて遊んでいる馬鹿ども。

 先週私の地元がその馬鹿どものせいでニュースにも取り上げられ、とても悲しい気持ちになった。実際、休日の地元は混雑していて、コロナって幻だったん?って思う。どのくらい混雑しているかというと、買い出しにスーパーへ車を出せないくらい混んでる。半分以上が地元のものではないナンバーだ。

 馬鹿が死ぬのは構わない。どんどん死んでほしい。ただ、そいつらのせいで私が感染したくないし、そいつらのせいで自粛を長引かされたくない。

 どうして危機的状況に他人事でいられるのであろう?

 「自分は絶対に罹らない」自信をどうして持てるのだろう?ここまで危機感が無いのはなぜだろう?

 答えは簡単。馬鹿だからだ。

 危機管理能力が欠如しているタイプの、人間以前にそもそも動物的に機能不全に陥っているタイプの救いようもない馬鹿だ。

 もしかしたら宇宙人なのかもしれないと最近は思っている。宇宙人なら言葉がわからなくても仕方ない。はやく地球に馴染めよ。

 

 すごく怖い。