めだかを飼っている。
外に植木鉢みたいな壺の水槽がふたつと、玄関に水槽がふたつある。4つも水槽があるのだ。
この掃除がそれなりに面倒くさいのだが、水がきれいになると気持ちがいいし同時にめだかたちに愛着も湧く。
水が汚いと憎悪しか湧かないのに。
なぜうちにこんなにめだかがいるのかというと、母がFacebookに自撮りを載せたところ、おっさんたちに人気が出てオフ会を開いたり遊んだりしているうちに、めだか好きのおっさんから「これあげるよ」となにやら珍しい種類のめだかをある日大量に貰ってきたからだ。大まかに言うと(かなりaboutに言うと)そういうことになる。
母はめだかの可愛らしさをおっさんに褒めたのだろう。
めだかはぞくぞくうちに届けられ、水槽4つ分にもなってしまった。
なんだそのおっさん。嫌がらせか?
めだかは既に2回の冬を越え、繁殖している。
交雑が繰り返され、「珍しい種類」と言われていた色味の青い種類は色も抜けて中途半端になっている。おっさんが見たら悲鳴を上げるかもしれない。
真っ黒なめだかもいて、そいつらはオタマジャクシにも見える。永遠にカエルにならない。ならなくていい。
繁殖して、春先になると赤ちゃんが大量に湧くのだが、気が付けばほとんどがいなくなっている。共食いしているのかもしれない。
そうして勝ち残った数匹がまた冬を越え卵を産み……と繰り返すので、数自体は意外と抑えられている。増えても困るのでちょうどいい。雑な飼育が功を奏すこともあるのだ。
↓
春は水槽が汚れやすい。温かくなり、水草が繁茂するのだ。
そこで水槽を洗っていると、水草に半透明のプルプルした気味の悪い物体が付着している。巻貝の卵だ。
タニシなのか別の巻貝なのか不明だが、とにかく巻貝は増殖しやすい。水槽の掃除屋だからまったくいなくなってしまうのも困るので、卵の内からある程度間引きしておく。一生懸命卵産んだのに可哀相に。
透明になった水にめだかたちが気持ちよく泳いでいるのを見るのは気持ちがいい。
いい感じの風が吹いていて、お日様は暖かくて、水草には花のような小さな色が芽吹き、ああ、コロナがなければほんとうに良い感じの春だよなぁと、休日のゆっくりと流れる時間を楽しむ。
と、腰を伸ばしたときだった。
骨盤の軋む音がして、?????となった後、息ができなくなるくらいの痛みが走った。
????????
混乱しながらベッドに横になったが、横になるとますます痛く、かといって起きあがることもできない。
10分くらい呼吸を浅くしていたら痛みは引いたけど、すごく嫌な予感がした。
ぎっくりの前兆だったのでは。
そんな春。