蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

お散歩ビンゴ

  昨日は恋人とお散歩をした。

 と言っても、実際に二人で連れだって歩いたのではない。

 同じ時間にそれぞれの地元を散歩したのだ。コロナの影響で会えないので、あるゲームを使って、同じ時間を共有した。

 

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 これは散歩ビンゴといって、お散歩中にこの中からできるだけ多く見つけた方が勝ちというゲームだ。恋人がTwitterで見つけてきた。(これは@error403さんのもの)

 「散歩ビンゴ」で検索するとこの画像以外にもさまざまなバージョンが出てくるので、よかったら調べてみてください。

 

 GW中にやろうか、という話だったが、GWの関東地方はなかなか天気が崩れていて、なかなか実行に移せなかった。ある日は雨が降っていたし、ある日には嫌な風が吹いていた。

 昨日は涼しくて、風は出ていたけど、やれないこともないだろうと、本格的に天気が崩れてしまう前に、時間を決めて1時間でどれだけ見つけられるか、私たちはそれぞれの家からスタートした。

 

 スタートして、さっそく黄色い車を見つけたり、そのナンバープレートに「7」が入っていたり、駐車場にパイロンがあったり、順調な滑り出しだった。

 見つけたものを写真に撮り、LINEに載せる。恋人は川へ向かったらしい。

 これ、恋人と連れだってやったらもっと面白かったなぁ、なんてことを思う。

 恋人と同じ時間を共有しているからこそ意識してしまう、恋人の不在。

 会いたいという気持ちが日に日に増していく。なんでこんなに私たちの家は離れているのだろう。電車で2時間くらいかかるのだ。もう1カ月以上彼女の手を握っていないし、一緒に食事もしていない。あとどれだけしたら彼女に会えるのだろう。こうなる前に結婚しておくんだった。

 

 そんなことを考えながら、ビンゴを埋めていく。

 

 観光客こそいないものの、地元の人たちが私と同じようにあてもなく歩いていたり、公園のベンチにぽつりと座っていたり、川沿いを走っている人も多く見受けられた。

 だけど、ソーシャル・ディスタンス、間を取り合う精神が染みついてきたようで、なんとなくお互いが近寄りがたい距離間を保っている。世界は変わっていくのだ。

 

 そんなこんなで1時間が経ち、ビンゴを終えた。

 

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 結構見つかるものだ(圧倒的勝利だった)。

 「意識的な散歩」をしてみると、さまざまな発見がある。変な看板や落書きがあること、大きな家があること、知らないところに公園があること、美味しそうなパン屋ができていたこと、世の中にはたくさんの花が咲いていること。

 誰かが植えた花があり、風で飛んできた種から芽を出した花があり、それらは見事に咲いている。

 気が付けば春は終わりかけていて、初夏になろうとしている。いちばん気持ちのいい季節だ。部屋に篭りきりの間にも、世界は変わっていくのだ。

 

 恋人と連れ立っては歩けなかったけど、同じ時間を共有することで、久しぶりに「二人の思い出」ができてよかった。