引っ越した。
引っ越し自体はわりにスピーディに終わり、午前中には私と恋人双方の荷物を新居に運び終えた。
照明を取りつけ、本棚を設置し、リビングのローテーブルを組み立てた。
恋人のお父さんが手伝いに来てくれて、二人でベッドを組み立てた。
散乱したゴミを片付け、段ボールを畳み、さまざまに点検をしたり、宅配物を待っていたら夜になり、お父様は帰っていった。
私と恋人の新居には、まとめられた可燃ゴミの45L 袋と段ボールや発泡スチロールといった資源ゴミがダイニングに山積みになっている。
山盛りのゴミを見ていると気が滅入る。
ダイニングをゴミ置き場にしているのは、ダイニングの家具が照明以外ひとつも揃っていないからである。
テーブルも椅子も、コロナの影響で発注が遅れており、8月を待たなければならない。
私は在宅ワークでしばらくこのアパートで仕事をすることになるので、ちゃんと座れる椅子が無いのはかなりきつい。
先輩はこたつで仕事をしてたら3日で腰をやった、と言っていた。当然だ。7.5時間、胡坐を組んで仕事はできない。1週間終わる頃には即身仏になっているだろう。
実際、1時間も座っていれば腰は痛くなる。1時間は調子乗った。本当のことを言うと30分が限界だ。
だから仕事については、脚立に座るか、PCを持って部屋をウロウロしようとおもう。
そういうわけで(どういうわけで?)、ダイニングに家具が無いので、ゴミ置き場になっているのだが、山盛りのゴミというのは、なにか呪いと言うか怨念と言うか、少なくとも正の気を放つものではなく、邪であり且つ負(ふ)の瘴気をまとっている。
早急にこれらのゴミを捨てたいのだが、我々の地区では週が明けないとこれらを処分できない。
週明けまで正気のままでいられるだろうか?
掃除をしたいと強く思ったのはここ数年で久しぶりのことだ。
変な虫が湧いてきそうだし、変なにおいがしてきそうだ。たぶん、このゴミを一か月も放置していると、妖気がゴミ袋に憑りついて、水木しげる的ドタバタストーリーがはじまってしまうのだろう。放置しておこうかな。だけど私が怖いのは妖怪よりも、怒った恋人である。
ゴミがあるだけで気が滅入る。
そもそも気が滅入っていたらゴミを捨てたい欲求すら湧いてこないものなので、だから精神的に病んでしまった人はゴミを溜めやすいのかもしれない。
ゴミを捨てたいと思うこと、それだけで精神の健康を推し量ることができる。
これから恋人と暮らしていく。
生活文化の違いや価値観の違いやさまざまなところで軋轢を生みそうなので不安だが、私が歩み寄っていくしかないのだろう。
なぜなら、私はかなりズボラで、金があればすべて使ってしまうタイプで、実家にいたときはゴミを捨てようと思わないタイプだったから。
真人間に更生するためにも、ここからきっちり生活していきたい。
さまざまな懸念とその考察については追々書いていこうとおもう。