『半沢直樹』って、放送するなら日曜の夜しかないとおもう。
明日から仕事、という危急存亡の秋に、背水の陣のときに、半沢直樹はパワーをくれる。
このパワーは何なのだろう。
↓
『半沢直樹』に出てくる人たちは、とても仕事ができるので、見ていると、わたくしは、劣等感を、抱く。
しかしながら、劣等感を抱きつつも、ああこんなに動き回れたら大変だけど楽しいだろうなぁ、誇りをもって仕事をすることはどんな職種であれ大事だよなぁと、ちょっとだけ、毎日のつまらないお勤めにも張り合いが出てくる。
まぁ、半沢直樹にはなれないけど、自分なりに頑張るしかないんだよなぁと、おもうのです。
↓
あの畳みかけるようなセリフ回し、表情、動きの切れ味、なんとなく見ていて歌舞伎を連想させる。
キメの表情がドラマの中にも細かくあって、それは歌舞伎で言うところの「見得を切る」ようなものだし、セリフの怒濤の応酬は歌舞伎の口舌やセリフ回しにも似通っていて、「捨て科白」も多いと共通点を考えていたところ、昨晩の半沢直樹生放送スペシャルで香川さんが歌舞伎との共通性に言及されていて、やっぱりそうかと膝を打った。
演者も歌舞伎を意識していたのだ。
「捨て科白」のアドリブ性も歌舞伎とドラマで似ており(ドラマだとあえてカットを長く取ることでアドリブを引き出そうとしているようだ)、そこに役者の個性とキャラ立ちが伺えて面白く、ストーリーもさることながら、役者そのものが見ていて面白いところも歌舞伎と似た魅力だ。
もちろん私は歌舞伎を生で見たことは一度しかないのだが(しかも半分くらい寝ていた(なんならドラマも最近観はじめたのであらすじがあまりわかっていない))、なるほど、『半沢直樹』の心地よさは歌舞伎と同じように言葉回しの気持ちよさと勢いと俳優の顔面によって引き出されるパワーにあるのだろうと納得である。
↓
それにしてもすごく手の込んだ「スカッとジャパン」みたいなドラマだ。
もちろん、「スカッとジャパン」よりぜんぜん面白いし特有の不快感も無いのだが、おおまかな筋は「スカッとジャパン」と同じだ。
・主人公が理不尽に嵌められる→・策略を巡らせる→・倍返しする(報復する)
王道のこの構造にこそ快楽があるのだ。
嫌な奴が論理的に、そして徹底的にぶっ飛ばされて、それを見て心がスッとしない人はいないだろう。
嫌な奴をきっちり嫌な奴として描写してくれるから、なんの後腐れもない。
そりゃあ、「倍返しだ!」と言いたくなるよな誰しも。気持ちがいいもの。
半沢直樹のように誇りをもって働こう。大変だけどそのほうがきっと楽しい。
そうしよう。誇りを持って働こう。明日も頑張ろう、と火曜日の午前中くらいまでは心がけているのだがな。