蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

殺気、立ってないで座りなさい。

宅で仕事をしていると恋人に仕事姿を垣間見られることがあるのだが、そんなとき彼女はやたらとそわそわして落ち着きなくキッチンをうろうろしたりする。

「お仕事まだ終わらないのかな?」などと優しく声をかけてくれる。ただそれは、どこか独り言のようでもある。

どうしてそういう感じなのか、私にはわかっている。

 

仕事中の私が怖いからだ。

 

仕事中の私は、常に殺気立っている。

全員を殺そう。今すぐに。

そう思いながら仕事をしているせいだろうか、イライラしていて、タイピングには力がこもり、眉間には皺が寄る。

ただ、声をかけられれば明るく答えようと努めるし、それなりに笑ったり、冗談を言ったりもするのだ。

一人で仕事をしているとどんどん自己の世界に入り込んでいって、集中すればするほど自分が殺気立っていくのがわかる。

他人のちょっとしたミスや気の利かないところが許せない。だからこそ、自分のちょっとしたミスが本当に許せない。常に完璧でありたい。指摘もせず、ただ自分の中でふつふつとストレスを燃やしている。

在宅ワークだと人と喋らず、個人の世界に没入していくからますます殺気立ち、貧乏ゆすりをしたり、強いため息をついてしまう。

全員殺す。今すぐ。ここで。

殺意を抱きながら向かうデスクワークはストレスが半端なく、煙草を辞めた今、毎日ブラック・ガムを20個くらい噛んでしまう。仕事終わりは舌がヒリヒリしている。

 

恋人はたぶん、そんな私が嫌いだ。

というか、殺気立ってるのが好きな人なんてどこかの星の戦闘狂くらいのもので、恋人の反応は当然だと思う。

恋人のそんな様子を見て、ふと我に返り、これはいかんと姿勢を正す。

なにをそんなに殺気立ってメールを打たねばならんのだ。もっとリラックスして歩み寄らねば。いつもお世話になっております。○○○○の蟻迷路と申し上げます。と。

 

 

男性は、殺気立って仕事をしている人が多いように思う。私の職場だけかもしれないけど。

殺気立ってはいないにしても、なんか迫力があるというか、同じ男性目線でもちょっと怖いなこの人、と思うことがあるから、フィジカルで不利な女性には尚更だろう。

そんな男ばかりがムサムサしながらむれむれの脂ぎった顔を並べたオフィスは地獄絵図と言わざるをえない。地獄絵図、というか、たぶんそういう地獄だ。殺気まみれの男地獄。

女性であまり、殺気立ってて怖いなと思うことはない。それは私が男だからそう思うのかもしれない。

 

どうして男がそういう感じになってしまうのかわからないけど、男性の多くが寡黙なパターンが多かったり、あとたぶんだけど、狩猟本能的なものが具わっていて刺激されているせいかもしれない。

 

本能が刺激されてそうなっているのだとしたら、ちょっと可愛いと思いませんか。

 

 

思いませんか。