蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

年上の後輩と年下の先輩

いきん年上の後輩が入った。私より五つ年上だ。

しかも、という言い方をしては語弊があるのだが、異性である。

女だからどうしたということもないし、仕事をするときは性別関係なく接するのでそこのところに関して弊害があるわけではないのだが、私のチームは男ばかりで、しかもおっさんばかりなので、彼女はいかんせんやりにくいのではないかと、私は気を揉んでいる。一番年の近い私は年下の先輩だし。

 

みんなやくざみたいな顔をしているけど、配慮ができて有能なおっさんばかりなので、どうか怖がらないでいてほしい。

 

さて、彼女はまったくの素人で、新卒で一昨年入ってきたときの私と同じ状態である。

専門的な知識がないのもそうなのだが、メールの文面がおかしかったり、電話応対がほとんどできなかったり、なんかそういう、社会人として基本的に身に付いている部分が欠如していて、ちょっとギョっとしてしまう瞬間がある。

だからメールを書いたらとりあえず私や先輩が内容をチェックし、一部分(あるいはほとんど)書き直して送信させる。電話が鳴ったら全員で彼女を注視する。

緊張するのだろう、そうとう慌ててしまい、結句なにを言っているのかさっぱりわからなくなって、私が代わってやったりする。

 

私が新人のときもそうしてもらっていたから、私も根気強く接しようと思う。

だけど、彼女は30も過ぎていて、社会人としては私よりも先輩のはずなのだから社会人として基本的なところは教えなくてもできてしかるべきではないのか……と余計なことを考えてしまうが、そこに不穏なものというか、なにか探ってはいけない気配を勝手に感じずにはいられず、前職は、というか今までどこで何をしていたのだろう、と考える前に頭を振って余分な推測を蒸散させている。

 

でもなにはともあれ、(飲み込みはあまり早くはないけど)できることが日々増えているし、自分で考える頭も持っていていくつか疑問をぶつけてくるし、わからないところはわからないと言ってくれるので、下手にプライド高い人じゃないだけ接しやすい。

 

年上の後輩は初めての私の直属の後輩で、彼女は今後、私の指示を基本に動くことになる。

なんか変な感じがする。やりづらいと言えばやりづらい。

だけど、なんとなくやりがいもあるというか、後輩の前では頼れる先輩であろうと努力したくもなる。

 

まぁ、しないけど……。