蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

お嬢様の召し上がりかた

週で口内炎ができてしまい、今は顎付近の内頬に二つできていて大きく口を開けられない。最近ほんとよくできる。

昔から使っている薬があるのだが、数回のマイナーチェンジを経てあまり効かなくなってしまった。前は塗れば二日で治ったのに、いまはきっちり5日くらいかかるので、もうこの薬は切ろうと思う。あるいは私の免疫が弱くなっている可能性もある。

老い、ってコト?!はやっ!ワ…ワ!

 

なぜだかわからないが、内頬が痛いのはもちろん、そこから繋がる首筋や、耳の奥まで痛みが広がっている。

痛みが根を張っている。

大きく口を開けられないので食事も困難だ。箸で小さく摘んで少しずつ口に運んでいる。

小さく口を開けてゆっくり食べているとなんだかお淑やかな令嬢になった気分である。

姿勢を正して箸を長く持ち、小さな口でひと噛みを大切に味わいながら食べる。この食べ方は幼い頃から「お淑やかに見えるように」じいやに教育された賜物なのだ。

かぼちゃの煮物を四等分している姿は「このままの大きさで食べたら喉に詰まるかもしれないし口の中がめちゃくちゃにされてしまいそうで恐ろしいですわ」と怯えて念には念を入れているようでもある。

実際は口内炎ができてるだけだ。

 

普段はがつがつ大きな口で食べてしまい、食事は速度だと思って体面を気にしていなかったが、男性でもよく噛んで小さく食べる方が紳士らしいかもしれない。

 

……いや、でもそんなことないな。

ていうか、なんか、意識することないな。食べ方なんて。

そりゃ、最低限のマナーはできていた方がいいけど、大きな口で食べるか小さな口で食べるかくらい、性別も関係ないし個人で好きにすればいい。それで他人に迷惑がかかるわけでもあるまいし。

高級フレンチをがつがつ食べていたら、「お里が知れる」と思わないこともないだろうけど、その程度のこと。

大きな口で美味しそうに食べればいい。小さな口で味わいながら食べてもいい。

美味しそうに、楽しそうに食べるのが食事に対する礼儀だ。食事に対する態度に口の大きさなんて関係ない。

 

 

お嬢様もお淑やかに見えるかなんて考えず、食べたいように思いきり口を開けて食べればいいのだ。ステーキも、フグ刺しも、カップヌードルも。

口内炎が治ったら。