「この世で最もつらいこと」はさまざまなベクトルで測られ挙げだしたらキリがないほどの数があるけれど、なによりも連休明けの勤務が一番つらい。
こんなに身体が重かったっけ?ってくらい重い。相対性理論?わからないけど、重力がなんかちょっと周囲とは違うような気がする。
起床即体調不良。
我求連続休暇継続。故我肉体就労拒否反応。嗚呼。
熱とも吐き気とも違う体調不良だ。なんていうか、空が重くなって両肩にのしかかってくるような。
それでも出社をしたのは、まことに偉かった。
これもひとえに、オリンピック選手が目覚ましい活躍をしているからだ。彼ら・彼女らから勇気を貰えたから、重い足を引きずって出社できたのである。出社した時点でメダル圏内は確定。充分な働きをすれば金メダルだ。
しかしまぁ、出社したら心の糸が切れますわな。
メールを読むのも怠くて、ぜんぜん頭に入ってこない。
電話が鳴る。
『土曜にメールをした件でまだご返事をいただけていないのですが……』
うるせ~~~~~。
こちとら休みだった…つーかなんでオメーは休んでないんだよ。同じ会社だろうが。
「申し訳ありません。すぐに内部で確認して折り返しご連絡いたしますので」うんぬん。
連休明けからギア全開で動ける人ってなんなんだろう(こいつは自主的に休日勤務していたので関係ないが)。
「ようし休みが明けたぞ!」ってテンションでガンガン仕事を回していく人がいるけど、どういう神経しているのだろう。よっぽど高性能な切り替えスイッチを装備しているに違いない。こういう人がいるから私みたいな怠け者が存在できるので、文句も言えない。
私は連休明けのみならず、土日休日明けの月曜日、その午前中はほとんどエンジンを温めるのに時間を費やす。ゆっくりメールを読み、倉庫で機器の在庫を確認し、先週残した仕事の内容を見返す。
そうしないと仕事を思い出せないのだ。
だが連休明けはさまざまなトラブルに見舞われることが多く、あまり悠長なことは言ってられない。
結局エンジンを蹴られて強制的にフルスロットルにならざるをえない。
馬車馬のように働けば時間が過ぎるのは早いけれど、しかし心はまだ日曜の夜に置いてきたままだからどんどん体と心が離れていって、肉体と精神で刻まれる時計の針の速度に両者の間で違和を生じ、肉体だけ老いていくような、独りで相対性理論を実証実験しているような、そんなテイになる。
そうなるとよくないので、私たちはさらに休む必要がある。