2回目のワクチン接種を終えて翌朝、身体中を蝕む関節痛で目を覚ました。
2回目の方が反応が激しいと聞いていたので警戒していたが、熱ではなく関節痛・筋肉痛に反応が出るタイプみたいだ。
腰、尻、膝裏、背中、肩甲骨、そして注射をした左腕が痛む。どれも背面が痛むのは、たぶん苦しみというものは背後から忍び寄ってくるものだからだ。
寝てても痛いし起きても痛いので、薬を飲んでじっとしているしかなさそうだ。
とは言え、高熱や頭痛のほうがずっとツラいので、関節痛に収まるならばそれに越したことはない。
鎮痛剤を飲んでしばらくすると痛みが落ち着いてきたが、尻の痛みだけが消えない。
尻に薬は効かぬ。
尻、と一言に申してもいわゆる「穴」ではなく、臀部(でんぶ)、つまり脂肪肉の部分が疼くように痛くて、何事にも集中を欠く。これを書いてる今も尻が疼くのでときどき さすりながら休み休み書いている。
なんで尻には効かないんだろう。まことに不可解で理不尽だと思う。
尻が蔑ろにされている。社会的弱者のように。
義憤に駆られもする。
副反応で尻がやたらと痛くなる同志がいたら声をかけてほしい。「お尻が痛いですよね。たとえるならなんかこう、淡い火傷してるみたいな」などと話したい。共有したい。
「わたしの痛みはあなたのよりももっと酷くて、座ることもままならなかったんですよ」「あなたの痛みなんてわたしのに比べたら……」「いやいや、その程度ならね、僕の方が酷かったですよ」
やっぱり声はかけないでほしい。この痛みは一人でそっとブログにでも書いておくから。
微熱が出てきた。
食欲はあるが、食べれる気がしない。
猛烈にピザを食べたいのだが、食べれる気がしない。心と体が解離しているのだ。内臓とか神経が「ダメですよ」と言葉なく拒絶する。
でも私の心は、ピザを食べたい、チーズに食らいつきたい、タバスコをアホみたいにかけたナポリタンを食いたい、ホットドッグに貪りつきたい、アブラまみれのラーメンをすすりたい、チーズインハンバーグを食べたい、肉塊を抱きしめたい、海を見たい、人を愛したい、と叫んでいる。
でも実際問題、体は滋味のある和食を求めている。
心と体が解離している。
離れ離れになってひとつの「私」にならない。
真っ二つだ。
まるで尻のように。