チョココロネに対して抱いてる感情に、私はちゃんと向き合ってこなかった。
先日、同棲している恋人が自分の朝食用にチョココロネを買ってきたのを見て素直に「いいな」と私は言った。
「チョココロネ好きだったの?あなたのぶんも買ってきてあげればよかった」と彼女は言った。
「いや、どうせ朝ご飯は食べないからいらないよ。それにチョココロネ別に好きでもないし。なんなら昼にほぼ毎日食べてるしね」
「え?」
「実はさ、お昼にセブンイレブンでチョココロネ買って食べてるんだよ。ほぼほぼ毎日かな。セブンに行った日は毎回買っちゃう」
「こわ。さっき『別に好きじゃない』って言ってたじゃん」
「うん」
「え?」
「いや、なんだろう。好きでも嫌いでもなくてさ。食べにくいし、甘ったるいし。でもなんか買っちゃうんだよね。まぁ、ここはチョココロネかな、って迷った挙句。さっき毎日って言ったけどさすがに盛ったわ。一週間に三日、多くても四日くらいだよ」
「多いよ。平日は「ほぼ」じゃん。なんなの?怖くなってきた。ごめんねあなたのぶんを買ってこなくて。わたしの食べていいよ」
「いらないよ」私は笑った。「朝は食べれないよ。そんな甘いの」
「なんなの?」
「なにが」
「でもほぼ毎日食べてるんでしょ?朝だけ食べれないの?どういうこと?飽きないの?好きなんじゃないの?」
「飽きないね。一回に一個しか食べないわけじゃないし」
「それもう、好き、ってことじゃん」
私はチョココロネが好きなのだろうか?
正直、よくわからない自分でも。好きなのかもしれないし、そうではないのかもしれない。でもなんか、アイツに嫌われたら、すごく哀しい気がするんだ。他の誰よりも。って恋をしている自分に気付けていない男子中学生みたいな感情。
私はチョココロネに対してどう思っているのか?
具体性をもって、まずどういうチョココロネが好きなのか考えてみる。
私はチョココロネの尻尾の先(細い方)が好きだ。チョコの入ってない部分が、甘くなくていい。余った生地のモラトリアム。たい焼きの尻尾なんかも好きですね。
「チョココロネ」と画像検索してどれが美味しそうか見比べてみる。
↑こういうチョコがぎっちり詰まっているものよりも、
↑こういうスカスカな方が好きだ。
甘みが少なくて食べやすいから。
あまり甘いともったりしてくるので……。
↑でもこういう、パン屋さんで丹念に作られたチョココロネが一番好きかもしれない。
というのも、生地が美味しいから。
チョコスプレーが使われてるのもいいですね。楽しい。これでチョコがぎっしり入っていなければ完璧だ。
私はチョココロネそのものよりも、その生地を好きなのかもしれない。
つくづくどうやって作っているのか気になるものだ。見た目のユニークさはパン屋随一で、ウケを狙って考案されたとしか思えない。愛らしくも気持ちが悪い。食べるたびに巨大な芋虫に食らいつく妄想をしてしまうのがネックだ。
めちゃくちゃマズいチョココロネって意外となくて、その代わりこちらの想像を超えるコロネも存在しない。
メロンパンとかドーナツとか他の菓子パン・総菜パンって店やメーカーによって当たりはずれもあって安定しない。
それで私は安易にチョココロネを週に三日も食べているのだ。だからすごい好きなわけじゃない。
保守だ。
保守派なだけだ。
じゃあ嫌いなのか?好きではないのか?
それに対しては、私は首を横に振る。
嫌いだったらこんなに食べてねぇよ。
えへへへへ