蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

転職活動のきつさは転職活動でしか救われない(こともない)

職活動をしている。
ふつうに働きながら転職活動をするのはきついし、日々経るごとに仕事に行くのがつらくなっていってる。
心と体がバラバラになっていく感覚というのかな、すっかり心が離れているのに今の仕事へ行く無意味さみたいなものを考えてしまう。それは例えがたく屈辱的で、時間を侵害されているという面で人権を侵害されているような感覚すら覚える。
とは言え今の仕事にだって責任はあるのだから会社にはいかなければならないのは頭では理解しているし、ここでほっぽり投げるのはあかんこともわかっている。
ただなんていうか、そう、どんどん呼吸が苦しくなっていく。苦しくなって固形物が喉を通らないから日中は水分ばかり取っている。ヤバいので飴を舐めている。


そんな日々の中の励みの一つが転職活動だ。これは矛盾しているようだけど、転職活動のきつさは転職活動によって救われるのだ。
企業を調べているとき夢が膨らむ。職務経歴書を書いているとき自分は前に進んでいると自信を持てる。志望理由を考えるとき泣きたくなるほど切実な思いになる。
転職活動がいまの自分を支えているといっても過言ではない。
そんな状況の私を見かねて、同居する恋人は「夫の転職活動中に妻にしてほしいこと」をインターネットで調べたらしい。
二人にとって大切な時期なのに私がこんなことになってしまって甚だ申し訳なく情けなくまともに顔も拝めない思いだ。
「調べた結果、『そっとしておいてほしい』が一位だったけど、どうなの?」
「そっとしておいてほしいというか、応援してほしい。笑顔でいてほしい。それ以外はなにもいらないよ、君がいればそれでいい」
「それだけでいいんだね?言ったね?わたしはあなたのそばにいるだけで人生オールクリアなのね?」
「なんか話がすり替わってるな」
でも実際、君さえいてくれれば。

そう思う夜。

 

志望する企業に転職サイトから志望動機文を送ろうとしたとき、3000字くらい書いちゃてさすがに引かれるかな、と思ったけどまあいいかとフォームにコピペしたら、「2000字オーバーです」と表示されて送れなかった。

そこからめちゃくちゃ削ってなんとか1000字に収めた。1000字のほうがずっとよくなり、文章の要諦は簡潔さにこそあると実感した。それに、3000字も書いたことでその企業に対してどう思っているか、自分がどうしたいか明確になった気がする。つくづく私は書いて思考するタイプなのだと思った。

その企業から仕事中に書類選考通過のお知らせが来た。

「熱いメッセージありがとうございました」とテンプレメールの行間に書いてあったので、それなりに心は掴んだみたいだ。

まだ、ただの書類選考が通っただけだけど、久しぶりに嬉しくて、デスクの下でガッツポーズをし、それだけでは足りなかったのでトイレに行って個室で大きくガッツポーズをした。

よし。よし。よし。

ここから油断せず、確実に仕留めるつもりで、周到に進めたいと思う。