蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

一喜一憂

職活動をしている。

転職活動は通常の就活と同じように、基本的にはエントリー→書類選考→面接 という流れをとる。

エントリーの段階で履歴書や職務経歴書や志望動機を提出したり、WEBテストを受ける場合もある。

「貴社に入りたいです」

「よござんす。入れてあげましょう」ってわけにはいかないのだ。告白をしたすべての人と付き合えるわけじゃないのと同じように。注文すれば出てくるレストランとはわけが違う。

段階を踏み、双方が熟考を重ね、最終的には縁によって導かれる。仕事探しとはそういうものだ。

とは割り切っている部分もあるけど、転職は新卒の就活とはまったく趣が異なっていて、仕事を見つけることに対して私の場合は転職の方がずっと切実になっている。

はやく今の仕事から解放されたい。この苦しみから逃れたい。

結婚もしてもはや人生は私の手を離れて二人のものになっているから、月収が低すぎるところや福利厚生が疎かなところでは心許ないし、斜陽企業に入ってもどうしようもない。だけど同時に私の心を救う会社でなければならない。

もしも転職できなかったら?他の同僚がまったく同時に転職を考えていて先を越されたら?すべての選考に落ちたら?

不安の種はいくつもある。

 

書類選考に出してもすぐに返事が来るわけではない。ほんとうはすぐに来てほしいのだけど、おおよそ3営業日から1週間以上時間がかかる。ラブレターの返事に1週間かけられたら「こりゃアカンな」と思うのと一緒で、返事が来ないとソワソワして糞詰まりの羊みたいになる。でも書類選考は中学生の恋愛とは違うのだ。

並行していくつか選考に臨んでいるけど、企業側の検討期間がかぶるとこちらは一時待機の状態になって非常にもどかしく、不安の種はどんどん膨らんで、現在の仕事にも暗い影を落としてひどく憂鬱になる。

おれはなにをやってるんだろう。とか思う。人生はもう終わったも同然なんじゃないか。とか思う。巨大な鷹に攫われて山陰地方へ行ってしまいたい。とか思う。

この数日間「待機期間」になってしまったので気持ちは暗澹たるものだった。

 

火曜日、先週一次面接を受けた企業から結果の連絡がきた。

二次面接の案内だった。

とても嬉しい。ガッツポーズ。ちょっと歌うたった。嬉しくて。

しばらくすると書類選考を出していた他の企業から「まことに残念ですが」と連絡が来た。ふつうに落ちた。

書類選考で落とされるとは思ってなかったのでいささかショックだった。書類選考で落ちると「歯牙にも掛けない」という難しい言葉が思い浮かぶ。たしか「山月記」に出てきた言葉だったろうか。名をコボウに連ねて次いで江南尉に補せられ。性、狷介。ショックで現実逃避が止まらない。

でもまぁ、ひとつは進んだわけだし、感情はどちらかと言えばプラスに向いている。たぶん。大丈夫だ。

最近、テレワーク中、1時間に27回くらい「大丈夫」と自分に言い聞かせている。

なんとかなるといいな。

一喜一憂の日々。