RADWIMPSの「ラストバージン」という曲が良くて、YouTubeで妻と見ていた。
歌詞も曲もさることながらMVが秀逸で、きっと最後のシーンを撮りたいがために作ったのだろうなと思わされる。
すごくお洒落だし、多くを語らずにストーリーを想像させ、ドラマチックながらも曲を邪魔しない。
この曲は結婚する二人の曲で、この二人がどういう出会いと時間を歩んで結婚に至ったかの物語を補いながら、その背景にある歌詞の世界が二人の結びつきに説得力を持たせ、曲とMVがふたつでひとつになって高め合っている。
歌詞がすごくすごく素敵なんだよ。
これから結婚をするんだ、これからずっと一緒なのだ、死ぬまで、死んでからも、終りの終りまで、なにも始まることのない終りまで、という、なんかその、二人で人生を歩んでゆくのだという覚悟のような愛を感じられるのです。
ここから妻と好きなMV紹介大会が開催された。
Perfumeには珍しくバックダンサーがいて、なにか不自然で不気味な印象のMVなのだが、色の対比とか、線を意識した舞台背景、小道具、構図のすべてが均整をもって美しく、見ていて気持ちが良かった。
曲もすごくいい。耳から離れない。
このMVひとつでPerfumeというチームがどういう思想をもってなにを表現し自分たちが表現者としてどうありたいか、なにか一線を画す意志を感じられる。
古い曲だけど『ヘビーローテーション』のMVもすごい。
今だったらこんなの作れないだろうし、この10年ちょっとでアイドルのスタイルも変わったもんだと思う。このMVがそもそもアイドルのスタイルを変えたのにそこからさらに変化し続けている。
どの子も懐かしくて、メイクとかヘアセットも時代を感じて、可愛くて、えっちで、元気で、きらきらしてて、甘々しくて、頭から君のことが離れない。
平成は不況や災害や凶悪事件にまみれた暗い時代だったかもしれないけど、この曲とこのMVが平成中期を象徴して明るくポップにしてくれて、平成は平成なりに楽しくていい時代だったんだ、おれが育った時代なんだよと言いたくなる。
よかったよね、平成。
映像文化財にしよう。時代を代表する名曲だと思うから。
SEKAI NO OWARIの「ANTI-HERO」のMVもコンセプトが好き。
悪とか怖いとか不気味って何だろう?どう表現すればいいだろう?と考えたときに猟奇的な発想は誰でも出てくるだろうけど、「食事」にスポットを当てたのは天才的だ。
分厚い肉を喰らい、甘ったるいケーキをぐちゃぐちゃと貪るさまはなにかいかがわしいものに見える。
食事って人間の欲求を満たす最大の行為のひとつで、本来は恥ずかしいものなのかもしれない。食事を見られることは、セックスを笑われたり寝顔を観察されたりするのと同じとは言わないけど、近い恥ずかしさがあると言っても過言ではない。時代や文化が違えば欲求の丸出しになる「食事」は愚かしいものになってもおかしくないだろう。
食事の持つ負の可能性を露悪に出したMVだ。低音リフの曲もいい。
Wintergatanの「Marble Machine」はバズりにバズったから知ってる人も多いだろうけど、いつ見ても変態的に天才的で最高。何度見ても飽きない。
ようはピタゴラスイッチ的な装置(マーブルマシーン)をこの曲のために作ってそれを用いて演奏するMVなのだが、発想はともかくとして実行に移した意思が凄いし技術もすごい。
この方がいかにしてこの装置を作ったか、私の知らない言語でいくつも動画になっていて完成まで追うことができる。なにを言っているのかわからないけど、かなり試行錯誤していることだけは伝わってくる。
感心しちゃう。
MVってなかなか難しい。
曲を飲むほどドラマになっていてはいけないし、曲を邪魔する内容でもよくないし、かといってつまらないMVも見ごたえがない。
MVが主役なのか、曲が主役なのか。売り方とコンセプトによってそれも変わってくる。
秀逸なMVがあれば教えてください。