蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

ヒトのにおい、犬のにおい、猫のにおい

の日の満員電車は人の傘で服が濡れるから最悪なんだけど、それ以上に、湿気によってニオイがこもるのが嫌だ。

このニオイって、要するにヒトのニオイなのだ。

結露。窓についてるね。それ触らんほうがいいよ。

ヒトの「呼気」が「凝結」して窓にびっしりついてるみたいなもんだから。

雨の日の満員電車は最悪だ。

 

ところで犬には犬なりのにおいがある。

犬はほっとくと、どんどん臭くなっていくので、犬のストレスにならない頻度でシャンプーが必要だ。

洗いたての犬はいい匂いがする。薬剤が犬に付着している菌やダニなどの寄生害虫を薬殺した鮮やかな香りに、犬特有のお日様みたいなこんがりとした香りが混ざり合う。

毛もふわふわになって、抱きつくと心いっぱいに幸せが広がる。

犬のおでこのにおい。

わかる人はこの単語だけで詩情を浮かべるだろう。

たぶんだけど、このにおいが自分のバスタオルから漂ってたら、たぶん不快なのだが、犬だから快くなるのだから不思議だ。犬じゃなきゃダメなんだ、という物事は案外この世界に多い。

犬だけが救える心の部分がある。犬じゃなきゃダメなことがある。

 

猫を飼い始めて、猫にも猫なりのにおいがあることを知った。

でも犬ほど強くはなくて、なんだかフワフワの霞のようなにおいだ。

そんなにジャンプーしてるわけでもないのになんでにおいがそこまでしないのか、なにかこの世の摂理から超越しているのだろうか?

でも、超越しててもおかしくないと思わせるナゾの説得力があるのが猫だ。

猫は全部を知ってるみたいな顔をしている。時間がどういうふうに私たちの身の回りを包んでいるか理解していて、この世の一切と私たちがどのように関わり合い、私たちがこの世に組み込まれているのか、知らずとも悟っていて、焦らない。雲が流れる空を楽しむ秘訣を知っている。

かと思いきや、なんで?ってくらいバカなことをしでかす。

そういうところがマジで可愛いし、考えてるだけで脳の特定の箇所がぴりぴりして溶けそうになる。

 

犬か猫になりてェな。こんな駄文を書かなくてもいいし、読まなくてもいいんだ。