妻は目薬を差せない。 眼球の直上に薬瓶を逆さまにし、指先にわずかに力をかけ、薬液が蚊の吸吻よろしく尖った瓶口から落ちてくるのを、待てなくて目を瞑ってしまう。まぶたの上に雫が垂れ、泣いてるみたいに見える。 そこで私が妻の頭を膝に乗せて、まぶた…
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