蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

原始のガム

会社にガムがあった。 どっかの取引先がくれたガムである。 「キシリトール」と大きく書かれた簡素なガムで、シンプルなデザインゆえに机の上にぽつんと置くとかえって目立った。悪い意味で。逆に商品棚では探すのに苦労するのだろう。もちろん悪い意味で。 …

私たちの買うべき「布」

「私たちは布を買うべきよ」確信的に恋人は言った。穏やかではない雨が降っていた日だ。 「布を買って、この部屋の見栄えをさらに良くする義務が、私にはある」恋人は早口に強い語調でそう言った。 こういう場合、私はとりあえず自分の考えを置き、次のよう…

日曜日はこうであってはならない

日曜日は目が覚めた瞬間から全身を虚脱感が襲う。 ── 休みが終わる。 休みの終了まで秒読みがはじまっている。 刻一刻と時間はなくなっていく。 ああ、どうしたらいいんだ、と嘆いている間にも時間は減っていくから、すぐさま起き上がって歯を磨き、紅茶を淹…

家族・土曜日・雨

昨日は恋人の家族が我が家にやって来た。 最寄りの大きな駅の街で昼食をともにし、その後アパートの我らが巣へ招いた。 ご家族は、我々にとってはじめてのお客様でもあった。 二人で暮らすための部屋だから、食器や椅子が充分に足りていなくて、今後来客があ…

「どうして人を殺してはいけないの?」にどう答える

「どうして人を殺してはいけないの?」という有名な問いかけがある。 もしも自分の子どもにそう問われたら、私はなんと答えたらいいだろう。 「法律で決められているからだよ」そう答えるとしよう。すると我が子は減らず口を叩く。 「日本では死刑制度が採用…

むずむず脚症候群の可能性

むずむずする。 昔からたまに、座っていたり横になっていたりすると、下腹部のあたり(より正確に言うと太ももと太ももの間にある空間のあたり)がむずむずして、いてもたってもいられなくなることがある。 夕飯後むずむずに陥り、解決策を見いだせないまま体…

においに惹かれ合う僕ら

異性を好きになるポイントはどこだろう。 異性、という言い方はいまの時代ちょっと古いかもしれない。言い方を変えよう。 恋をするとき、相手のどこに惹かれるのだろう。 人間的な部分、ももちろんそうだけど、動物的に本能的に、われわれ優しき獣は相手のど…

ゴッホの「ひまわり」の黄色になりたい

国立西洋美術館で開催されているロンドン・ナショナルギャラリー展に行ってきた。 美術館に行くのはじつに半年ぶりくらいで、久々でずっと楽しみにしていたのだ。 チケットは予約制となっている。 もちろん、コロナ対策であるが、混雑分散の目的もあるのだろ…

ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』を読み疲れる

ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』上下巻を購入したのは、たしか2018年の春だったようにおもう。あるいは夏だったかもしれない。 2018年は私にとって「卒論の一年」であり、その年は論文のテーマに選んだ村上春樹の書籍を片っ端から漁り読んでいたので、少な…

うさぎやCAFÉ でよろこびを味わいなさい

すべてのフレンチトースト好きは「うさぎやCAFÉ」に行くべきだ。 これは、単なるフレンチトーストではない。 まずその形状をよく見ていただきたいのだが、見た目は完全にどら焼きである。 名称も「うさどらフレンチ焼き」というので、フレンチトーストとどら…

コード:4連休

四連休が始まった。 これまでの反省を踏まえて(盆休み、正月休み、GWなど)、毎日を充実させ、一般的に体感される4日間よりももっと濃密で素晴らしく、丁寧な日々にしようとおもう。 そう決めた金曜の夜、私は缶ビールを飲み、じゃがりこを食べ、シャワーも浴…

憎み、憎まれ、ラーメン屋

馬鹿な女たちを観察する。 後ろからまじまじと観察してやる。本のページ越しに、行間を読むようにじっくり、じっとり、女どもを観察する。ついでに、その隣に座っているカップルも観察してやる。そうして「圧」をかけてやる。 ↓ 夜のラーメン屋は混雑してい…

禿頭恐怖

菅(すが)内閣の顔ぶれがお爺ちゃんばっかりで、最初写真を目にしたとき、地元老人会の囲碁大会の朗らかな日曜の午後を収めた一枚かとおもってしまったけど、どうやらこれが我が国の新しい内閣らしい。 お手本のようなお爺ちゃんたちばっかりだ。 ひと昔前の…

『キッチン』を読むということ

吉本ばなな『キッチン』を再読した。 これで読み返すのは3、4回目くらいだけど、何度読んでもいつ読んでも、またいずれ読みかえすのだろうなとどきどきして、期待にも似たたしかな予感を抱く、大好きな一冊だ。 少ない言葉で、最低限の、しかし最大限の描写…

すげ~人たちってすごい

ふと、どういう生き方をしたら官房長官や総裁や内閣総理大臣になれるのか、わからなくなった。 『半沢直樹』を見ていて、どうやったら頭取になれるのか、よくわからなくて、話が頭に入ってこず、「おじさんたちが大声で吠え合っている」状況を楽しむだけの低…

カレーを作って信頼回復を図る

カレーはどう作ってもカレーになるから優秀だ。 冷蔵庫にある、なんか良さそうなものを勘に任せて入れても、かならずカレーになる。 食材を好きなように刻んで、炒め、煮、その辺にあったテキトーなスパイスを入れて、カレールーを入れればカレーになる。カ…

ジャイアンがラルフローレンを着たっていい。

幼いころから、それこそ物心ついたころからおかしいと思っていたのだが、あらためて考えてみると違和感があり納得できない。 というのも、漫画のキャラクターが毎日同じ服を着ているのはどう考えたってリアリティがないのに受け入れられている。 美味しい食…

ドン・キホーテ新宿駅東南口店のウツボになりたい

生まれ変わって、魚になったとする。 魚に生まれ変わった場合、水族館への転生はできれば避けたいところだ。 だってそうだろう。あんな狭い水槽に入れられてさ、窮屈な思いして一生を終えるなんてさ。 海に生まれれば、海のすべてのフィールドが自分のもの、…

Excel2016 VLOOKUP関数の使い方講座~精神論 篇~

VLOOKUPはたいへん便利な関数であるが、しかしながら僕は、たいへんに頭が悪いので、VLOOKUPを使えない。 「VLOOKUPは使えるととっても便利だからね」と先輩は言ってくれる。 先輩は優しいから「VLOOKUPも使えないようでははっきり言って仕事では使いものに…

Twitterは薄目でやるのがいい

さいきんはインターネット、とくにTwitterがきつくてあまり見れていない。 よく知らん人の思想が140字という無責任な短文を通して感情的に急激に頭に流れ込んでくることが、耐えがたくなってきた。 会ったこともない人の暗く冷たい情動が無理矢理流し込まれ…

蜘蛛庵の暮らし

我が家には蜘蛛が多い。 1センチにも満たない大きさの、ハエトリグモとでも言うのだろうか、小さくぴょんぴょん跳ねるやつらがそこらの壁や床やドアノブや枕の上を随意に歩いている。 まぁ、このくらいの大きさの蜘蛛はそこまで気持ち悪くないし、むしろ可愛…

青春死体

ああ、高校の軽音楽部に入りたい。 軽音部に入って、男2女2の4人でバンドを組みたい。 ぼく:ギター 男子1:ベース 女子1:ギター 女子2:ドラムス これで、バンドを組みたい。 ボーカルは固定してなくて、曲によって歌い手は変わるし、コーラスを入れ…

米だけでご飯3杯はいける!

恋人の実家からお米をいただいた。 これが美味しくて、この時初めて、米にも味の違いが明確にあることを知った。 同棲をはじめて最初に買った米は、近所のスーパーで一番安かった米だ。 「最初からいい米を食べると、精神が廃る。 戦時中を思い出して御覧な…

歌舞伎で『半沢直樹』をやってほしい

『半沢直樹』って、放送するなら日曜の夜しかないとおもう。 明日から仕事、という危急存亡の秋に、背水の陣のときに、半沢直樹はパワーをくれる。 このパワーは何なのだろう。 ↓ 『半沢直樹』に出てくる人たちは、とても仕事ができるので、見ていると、わた…

「カルボナーラ・海水浴風」の作り方と対処法

昨晩は塩分を摂りすぎて死ぬかとおもった。 カルボナーラを作った。ご覧、美味しそうにできているでしょう。 まさか不味くて死にかけることになるとは。 インターネットで「牛乳と生クリームを使わない本格派カルボナーラ」を調べ、材料は揃っていたので、作…

わたし、木に生ります

プラムを食べる前に、しげしげと観察して「いいな」と思いを馳せてしまう。 プラムはスーパーに並ぶ前、じつは木に生っていたのだという当たり前すぎることを、つい忘れがちになってしまう令和二年。 この可愛い果物は、木に生っている。 朝、恋人がむしゃむ…

丁寧に失敗作を作る

同棲をはじめて、偉いことにほぼ毎日自炊をしている。 休日に作りだめをしておいたり、野菜だけ切っておいたりする。そうしないこともある。 仕事終わりに料理をするのは結構負担だが、料理が嫌いではないし、苦労でもなく、ただ仕事終わりで腹ペコなのにす…

天体観測の車窓から

帰りの電車に、両手にぱつぱつの荷物を提げた、これまたぱつぱつのおばさんが乗ってきた。 両隣の座席に荷物をがさりと置き、おばさんは私の前の座席に座った。 おばさんひとりで3席占領していることになるが、おばさん自体の体積が、なんというかひじょう…

ソフトドリンク・ハードコア

強くなりたくて「ドデカミン」を買った。 「元気になる成分が12種配合されており、しかも増量されていて、これを飲めば百人力だわい」といった文言が記載されていた。 手に取ったのは、仕事終わりのことである。 ちかごろ私は一日2リットル以上の水分を摂取…

僕の宗教になってください

家の近所の坂の上に、小さな白い教会がある。 慎ましく荘厳さはないものの、直方体の塔の壁は白く格式があって、十字架が硬く堂々と屹立している。住宅街にうまく融け込んで、とても古そうなのだけど清らかさを感じさせる、静かな教会だ。 門に「今週のあり…