蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

描写文

ゴリラの魅力/セイウチの魅力/ヒトの魅力

ゴリラとかセイウチとか、大きくて強そうで粗野ながらもどこか優雅な生き物が好きだ。 特に上野動物園で見たゴリラが印象的だった。 特に上野動物園で見たゴリラが印象的だった、という書き方をすると、さまざまな場所でゴリラを観察したことがあるような物…

川という名前の淀み/まだ名前のついてない空間/夜の散歩

久しぶりに雨の降っていない夜だったので、1時間ほどウォーキングをした。 普段使うスーパーやコンビニやコインランドリー やドラッグストアといった日常使いの「行動範囲」から抜け出して、地図も見ないで思った方角へとにかく進む。左が良ければ左へ進むし…

猫の傀儡

久々に実家に帰り、猫たちに会ってきた。 猫たち(保護猫)は私の実家にやって来て1年と3カ月ほどになる。 来た当初は常に怯えていてまさに「借りてきた猫」だったのだが、半年すればそれなりにリラックスしはじめ、私が実家を出て9か月、久々に会った彼ら…

温犬と乳仏

コンビニで温犬(ホットドッグ)を見かけ、ソーセージの太さ、大きさ、申し分なくちょうど昼食に良さそうだったので、ついでに乳仏と共に購入した。 ところで菓子パンのなかでも乳仏が最も安定して美味しいと思うのは私だけだろうか。 柔らかめのフランスパ…

少女よ、踊れ

通勤途中、10時くらいに住宅街を歩いていると、道路わきからシャカシャカと音楽が聞こえた。 見やると、少女が踊っている。 しかも「ちゃんと」踊っている。 というのは、きれいなシルク色のパーカーに、硬そうなキャップを斜めにかぶって、うっすらと化粧を…

日曜夜22時30分、最後の抵抗

私が風呂から上がると彼女は肢体をベッドに放り出してうつぶせになり、たぶんそのまま窒息死を試みていた。 「風呂あがったよ」 「ぁぃ」殊更小さなその返事にはもう何もしたくない、明日が来なければいい、そんなニュアンスが含まれている。 明日は待ちに待…

峠の茶店の壁色はピンク

これからある飲食店の描写をする。 このお店がどこにあるのか、いつ私は行ったのか、うまく思い出せない。 いや、そもそも、このお店が実在するのかも怪しい。ずいぶん昔に夢の中で見たお店なのかもしれない。あるいはテレビの中で見たお店かもしれない。流…

電池、2個、備忘録

ガスコンロの火種は意外にも電池式である。 スイッチを捻ってぱちちちちちちと鳴るあれは、単一電池2個が源となっているのだ。 電池が消耗すると、ぱ・ち・ち・ち・ち……と力ない音でようやく火がつく有様になり、煮物を温めているときにかぎって火が消える…

炊飯器

先日の福島沖での地震の際、うちのアパートも都内らしい震度で揺れて冷や汗をかいた。 おや、今日のはちょっと長いナ、と思った矢先に盆を傾けるように大きく揺れて、地面がごうごうと鳴って心拍数を上げ、その大きい揺れも長いものだから、「いよいよか」と…