会社の倉庫は酷い環境で、そこに2時間も居座れば容易に精神をきたしてしまうそんな劣悪極悪最悪牢獄部屋なのだが、私は昨日そこに累計1時間半ほど一人でいた。
通信機器や使い古したマウス・テンキーの山、見たこともないほど古いコンピューター、計測装置、大量の空き箱、扇風機、備蓄食糧、やたらと高い湿度、目が痛くなるほどの埃、薄暗い灯り。
機器の棚卸しをせねばならなかったので、倉庫とオフィスを行き来して累計1時間半はそこで作業をした。
使い古したマウスとテンキーの山が一角に築かれていて、私はそれが怖くて直視できない。
ボタンの隙間に手垢やカスがこびりつき、マウスはどれも壊れていて、コードはそこに絡みついた埃さえも朽ちて赤黒くなって、複雑に絡み合って一個の個体のようになっている。
その様相からは人々の「怨念」が漂っていて近寄りがたいのだ。
みんなが怨念を恐れているので、マウスたちは捨てられることなくその一角に何年分も積まれている。
たぶん妖怪は、ああいう一角から発生するのだろう。妖怪とほとんど違わない邪悪な雰囲気を出しているので、奴が夜な夜な歩き出して人々を襲う日も遠くない。
とにかく埃が酷くて、マスクなしではものの数分で肺が腐ってしまう。
目が痒くてもまぶたを擦ってはならない。手についた汚れが目に入り炎症を起こす可能性があるからだ。先輩はそのせいで目を潰した。
エアコンの効きも悪くて暑い。
劣悪極悪環境で汗をダラダラかきながら機器を棚卸しして、一仕事終えてオフィスに戻るとなんだか体調が悪かった。
ひどい頭痛、そして喉の痛み。
バファリンを服み、カルピスを買って飲んだ。カルピスはなんだか体に良い気がするし美味しいから士気も上がる。それでなんとか仕事を切り抜けて、帰宅すると喉の痛みが本格化した。
こういう時勢、体調の変化には敏感になるし不安が高まる。
熱を測る。
35.9度。
いつもより低すぎるくらいだ。逆に問題だ。
紅茶を淹れてたっぷりの蜂蜜を溶かしてゆっくり3杯飲み、喉スプレーをして早めに寝た。
こういうときはとにかく寝るに限る。明日の朝ダメそうならもうダメなので、どうしようかな、とか不安になることを考える間もなくすぐに眠れた。疲れていたのだ。
起きると喉の調子は良くなっていた。昨日よりかなりマシだ。
もう少し様子を見るが、今日は在宅勤務なので落ち着いてゆっくり過ごそう。
皆さんも体調ほんと気をつけて。労わろう。みんなで。労おう。世界。