「台無しの会」が発足されたのはいつだったか忘れたけど、恐らく4~5年前のことで、きっかけは当時の私が運営していたブログに寄稿した「台無しについて」という記事だった。
それを読んだ友人が、突然私と友人と友人の友人を入れたLINEグループを作り、わけがわからないのだけど、「台無し」について語り合おう、という場を生み出したのだ。その後数人が結社に入り、現在は6名でたまに雑談をするグループになっている。雑談の中で「台無し」が話題に上る。
「台無し」とは何か?
これを説明するのは難しくて、理解も簡単ではないので、例を出してなんとなく雰囲気を掴んでもらいたい。
例(1) 四葉のクローバー
四葉のクローバーは幸運の証だ。クローバーの群生する中から四葉を見付けられたらいいことがありそうで、子どもの頃よく探した。
……四葉のクローバーだけの公園があったらまさに幸福だと思わんかね。
「四葉のクローバー公園」。ここに群生するクローバーは四葉しかありません。幸運を摘み放題!探す手間も省ける!
「台無し」だ。
そうじゃないでしょ。四葉のクローバーは珍しいから幸運の証なんでしょ。
それを群生させたら意味ないでしょ。
これではむしろ三葉が幸運の証になりそうだ。
例(2) 高級食材バイキング
食べ放題バイキングに来た。そのバイキングのコンセプトが「台無し」だった。
「フォアグラ・トリュフ・キャビア 2時間800円食べ放題飲み放題!」
「台無し」だ。
高級食材が2時間800円食べ放題飲み放題なんてありえない。
本当に本物のキャビアか?腐ったとびっこじゃないのか?本物のトリュフか?フォアグラか?怪しい。
「2時間800円」が高級食材の価値を下げてしまう「台無し」。
例(3)食べ物の器
こちらの画像を見ていただきたい。
高級感あふれる美味しそうなクレーム・ブリュレだ。実際に、とても美味しかった。
この器の底に、次のような文言が彫ってあたらどうだろうか。
『最後まで食べてくれてありがとう!』
もしくは、
冷凍食品のグラタンみたいに底に占いが書いてあったらどうだろうか。
これは「台無し」初心者でもわかりやすい「台無し」ではなかろうか。
なにもかもぶち壊しの完璧な「台無し」だ。
もはや、完璧な「台無し」という「台無し」である。
これが、私が4~5年前に提唱した「台無し」の概念であり、これを踏まえて「台無しの会」は発足された。そして、「台無しの会」では日常に潜む、言うなれば興醒めのような「台無し」を指摘し、改善を促すようとぐろを巻いているのだ。どちらかというと正義の秘密結社だ。
「台無しの会」、実は発足して数年経つのに全員で実際に会ったことは一度もない。
全員で会いたいとも思わない。
なぜなら、そういう類の「台無し」だから。