蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

一人スシロー

人で出かける用事があり(だいたいそうだ)、一人で昼食を食べるとなったので、スシローに行った。

スシローはいつも10〜20組みくらいの待ちが発生しているが、お一人様は空いてるカウンターに通されるので待たずに入れる。そこにまぁ、ね、気持ちよさを感じないわけはない。お先失礼しますよ……と一応申し訳なさそうな顔をしておく。

 

2人がけのカウンター席のひとつではオバ様がすでに寿司を喰らっており、早速ヒヤヒヤする展開となった。

知らないオバ様と2人がけのカウンターかぁ〜って思うけど、それはオバ様としても同じこと。気持ちよく寿司を食べていたらいかにも根暗なアラサーが隣に座ってきてガリを食べ始め、茶をすすりだす。都市伝説的ですらある。

 

着座即、ビールを注文。

昼からいいのか?

いいんです。

なんのために人生はあると思ってるんだ?

日曜の昼から回転寿司でビールを飲むよろこびを知らないとは哀れなやつめ。おれはこのために働いてんだよ。文句あっか。

 

こはだは必ず最初に注文する。

こはだがどんな魚なのかわからないけど、さっぱりして食べやすく、クセもないし、シンプルな寿司で好きだな〜と思う。

寿司屋の実力を知りたければこはだを食べろ、なんてよく聞くけど、そんなに違いあるのかなぁ、と食べるたびに考える。どこも平均的に美味しいので、美味しいということしかわからない。馬鹿みたいな評論だ。

かつおやサーモン、えびなど、気持ちのままに注文していき、中盤からはこってりした穴子とか肉系のものを食べる。

将太の寿司』で、穴子を序盤に出したために失敗をするという話が2〜3あったように記憶している。穴子は味が濃いので、序盤に食べると舌が鈍り、それ以降食べる寿司の味を損なうというのだ。

それだけは健気に覚えているためたとえ序盤に食べたくても我慢する。でも、ガリを食べてリセットすればいいじゃんね。

 

ガリ大好き。

備え付けのケースの3分の1〜半分くらい食べてしまうくらい好き。もはやガリを食べに行ってると言ってもいいくらいだ。

ガリって寿司屋の緑茶と合うんよな〜。ガリで酸っぱくなった口の中が緑茶によって甘くなる感じするのなんでだろう。

 

隣のオバ様とはとくになんのトラブルもなく、交流もなく関係性には至らずにそのまま時間と寿司は流れていった。

私は130円の安い皿ばかりとってしまい、それがちと恥ずかしい。貧乏人だと思われるかもしれない。

でもさ、食べたいものが130円ばっかりなのだから仕方がないじゃんね。130円で美味しいお寿司が食べれるなんて幸せなことだと思うよ。すごいよスシローは。

 

それにしてもスシローは注文も会計もなにもかもシステマチックで、わさびすらも元々ついておらず、回転しているものから取るのが基本で、極力無駄なコストを抑えているのがわかる。

スシロー好きだし美味しいし、スシローにこれ以上を求めることなんてないのだけれど(それにそれは間違っている)、元来寿司って贅沢な食べ物なんだなぁと思い知ってしまった。

テーブルにわさびの袋が散らばっているのを見るとむざむざと貧しい気持ちになった。

職人が目の前の客のためを思って一貫ずつ握っていく。わさびをわざわざ入れることや、逆に抜くこと。

高い寿司に払う価値ってそういうところにあるのだろう(そういうのを食べた経験は数えるほどしかない)。

スシローはスシローで好きです。最高!

 

そんで、最後にもう一回こはだを食べた。

こはだっていつ食べても美味しい。

最初がなんだ、順番がなんだ。ガリ狂にとっちゃ関係ない。

 

あー、もうまた行きたい。思い出したら食べたくなってきた。