蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

正月からパンを焼く

冬休みにパンを焼こうと思っていたのだけど、なぜか例年になく忙しない年末年始でとてもそんな悠長な時間はなく、1月1日の午後しかパンを焼くための時間が確保できなかった。

なにも正月からパンを焼かなくてもよいではないか。そんな意見も聞こえてきそうだ。しかし、焼きたいのだから仕方がない。昨年からパン教室に通い始めたこともあって、自宅で焼いてみたくてたまらなくなってしまったのだ。

パン教室といってもパン職人養成所ではなく、家庭でパンを作れるようになったらいいよね、というレベルのゆるいサークルじみたものだ。

楽しむことが大前提ではあるのだが、行けても2週間に一回程度。行くたびに前回教わったことを7割くらい忘れている状態になるため、楽しむにしてもやはり自宅学習(復習)は必要だよなぁと常々思っていたところ、年末のレッスンから年明けのレッスンまで1か月も空いてしまうことが発覚し、これは自宅で焼かないと全部忘れるぞという危機感がつのりはじめていた。

それになりより、焼きたてを家で食べたいじゃないか。

 

強力粉、ドライイースト、無塩バターを正月のスーパーに買いに行き、教わったレシピでパン作りをスタートした。

何種類か教室で作ってわかったのだが、生地は粉の種類や何を混ぜるかによって、ベトベトするものや、固くなるもの、ちぎれやすいものなどに変わる。わかりやすく言うと、ベトナム人ラオス人とスリランカ人くらい異なる。よって、それぞれに扱う言語も接し方もビミョーに変わってくるように、パン生地もモノによって扱い方ざ異なるのである(そもそも個人ごとに性格は異なるが)。この扱いの見極めが、ベトナム人ラオス人とスリランカ人であればわかりやすいかもしれないが、言葉も表情も経済力もないパン生地となると自然難しく、そこが奥深い。

この性質を理解してどれくらい捏ねたらいいのか判断できるようになるには、教室にあと30万円くらいお支払いして通わなければならないらしい。でもそうなると、私は仕事を辞めてパン職人にならざるをえなくなってしまう。

ま、それでもいいが。

 

材料の分量を測り、生地を作って、捏ねていく。

このとき、生地の雰囲気が教室でやったときとなんだか違うような気がした。

いつもより固いのだ。固すぎると言ってもいい(硬いかな。どっちを使えばいいのかわからない。日本語って難しい)。

よく固さを表現するときに「耳たぶくらい」って聞くけど、なんだかあまりピンとこない喩えだと思う。しかしながら、私が捏ねているのは魔王の眉間くらい固いため、喩えがどうであれ教室でやったときより明らかに固いことはわかる。

粉の種類、バターの種類、水の量のわずかな違い、環境の温度などにパンは左右される。

同じ分量でやっても人によっては発酵度合いや色合いが変わってくるのだから不思議だ。

パンは繊細な生き物みたいなのだ。

 

なんだかんだやって一次発酵までできた。

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うちには発酵機がないため、オーブンの発酵モードでやってみることにした。

しかしここで、急遽家を1時間ほど出なければならない予定ができてしまった。妻が、スマホを買い替えたいが一人で家電量販店に行くのは不安だから着いてきてほしいと言うのだ。パン作りでは何が起こるかわからない。あらゆるトラブルに合わせて臨機応変に対応せねばならない。

さすがにオーブンをつけたまま外出するのは危ないので、エアコンの直撃する室内にラップをかけて放置することにした。柔軟な対応である。

外出中にエアコンをつけておくのは心苦しいが、パンは生き物であるから、仕方がない。寒いところで待たせるわけにはいかない。

 

帰宅すると、うまいこと発酵して膨らんでいた。

写真はなくて申し訳ないが、ぷっくりと丸く膨らんでいて、固さも赤ちゃんのほっぺくらいになっていた。

もっちりやわらか。

ここから成形し、二次発酵する。今度はオーブンでの発酵だ。

これもうまくいったので、写真のように切れ込みを入れ、焼成に入る。

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この、焼いている時間が怖い。

もしも焦げたら…失敗したら……。材料も時間も水の泡だ。

強力粉やドライイーストはともかく、無塩バターは高い買い物だ。私はバターの金額に対してひどく敏感にできており、グラムを測るときも「あ、これは80円分だな」とか考えてしまい、憂鬱な気持ちになる。今回はそこまで使っていないけれど、これが塩バターパンだったらと思うとゾッとする。

オーブンの前をうろうろすること20分、ついに焼き上がった。

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どうですか。

めちゃくちゃ可愛くないですか。

出来たてをかじってみると、かなりむっちりはしているものの、ふんわりとほのかに甘いパンにちゃんとなっていた。

 

これに切れ込みを入れ、あんバターとクリームチーズ&ベリーソースを挟む。

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バターの塩っぱさとあんこの溶けるような甘さっての脳髄直撃級の美味しさ。

クリームチーズとベリーソースも良い。酸味が効いてる。ベリーソースは冷凍のミックスベリーにお砂糖をかけて電子レンジで温めた即席のもの。保存は効かないけどすぐに食べる分にはこれで十分だ。うまい。

 

初めての自宅パン作りがうまくいってよかった。

これで年始のレッスンも自信を持って臨めそうだ。