藤井くん!
きみは、ほんとうに、すごいひとだ!
ぼくは、えらく、感銘を、受けました。
今日から、あなたの、大腸に、寄生虫として棲みたい、そんな、気分です。
寄生獣。そう言ってもいいかもしれません。
ひと月前に棋聖になったときも書きましたが、とにかくあなたの徳にあやかりたいのです。
史上最年少で二冠を達成、さらに最年少で八段への昇段の偉業。これがどれくらいすごいことなのかというと、史上最年少で二冠を達成しさらに最年少で八段へ昇段することくらいすごいことなのだ。
マジで強いんだな、とおもいます。
しかも年齢的に、まだまだ強くなれる。
ああ、藤井くんの担任の先生になりたい。担任の英語の先生(25歳女性)になりたい。
「藤井くん!将棋が楽しいのもわかるけど、ちょっとはお勉強しなきゃだめよ!」
「先生(藤井くんのセリフなので藤井くんの喋り方を真似て読んでください)、でも、僕の成績はそんなに悪くない、というかクラスでも優等の割合に入るくらいには、文句のない成績だと思いますが」
「あら、それは数学のお話でしょう?英語はどうなのよ英語は」
「う、英語はですね、僕にとって──(ここで言葉に詰まる)」
などと言って。そんで、放課後に補習したい。あれだけ将棋が強いのに英語でうーうー言ってる藤井くんを見たい。涙目になる藤井くんを励ましたい。仮定法過去を指導したい。ここはIFなだけに。
あるいは若い古文教師(26歳男性)になって、藤井くんと友達になり、将棋を教えてもらいたい。
おれはこんなことを書いている場合ではないとおもう。情けない。こんなんだからダメなんだ。
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木村元王位の「参りました」という降参の姿に涙が出そうになった。
木村棋士は昨年46歳という最年長で初のタイトルを獲得し、「中年の星」という愛称で呼ばれているらしい。
その、長年の思いの末に獲得したタイトルを、一年で、史上最年少の棋士に奪われる。
将棋は論理と読み合いの完璧な頭脳戦で、そこに波はあるだろうけど、基本的には運に頼らず、徹底的に実力勝負である。
その勝負の中で、ストレート敗けを喫し、王位を明け渡す、「参りました」の一言を出すまでの、重く険しく果てしの無いような、人生の詰まったような時間に思いを馳せると、涙が出そうになる。
これが勝負の世界なのだ。自分で敗けを認めないと勝負がつかないことはすこし残酷だ。
木村棋士はその後に「またイチから出直す」とおっしゃった。
その目には無気力さはなく、重く鋭い輝きがあって、とにかく負けてはしまったけどぜんぜん諦めていないしこれからまだまだ強くなろうという意志が伺えた。
本当に格好良いとおもった。
勝負の結果を真摯に受け止め、年長であるにもかかわらず、「またイチから出直す」と言える、その将棋人生への向き合い方に、人間力を感じた。