蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

僕の肝臓を食べたい

能か不可能かの話をしたい。

 

肝臓は代謝や分解を司る大事な臓器だから肝臓細胞が癌などにより損傷すると命にかかわる可能性は必然的に高くなる一方で、しかし肝臓は再生能力が高く、70%を切除してもおよそ半年ほどで元の大きさまで戻り、機能も回復すると聞く。

生命維持に直接的にかかわる臓器だからこそ、そのような高度な再生能力を持っているのだろう。専門家でもなんでもないので知らないが、たぶんそういうわけに違いない。あまり生命維持に関わりのない部分ほど再生能力は低くできているのだ。

 

私は思った。

これだけの再生能力があるなら、自分の肝臓を一部切除して取り出し、食べたとしても、あまり悪影響はないのではなかろうか。と。

自分の体の一部で食べるなら、肝臓が最も現実的な部位なのではないだろうか。と。

 

ちょっと切り取って、ソテーにして食べる。

半年もすれば再生する。

半年の代償で人肉を喰らうことができる。

 

可能か不可能かの話をしている。

 

 ────────────────

突然人肉食の話になってしまって申し訳ないし、なんかこういう「人肉食べたい……」ってちょっとイタイ中学生がニキビ面歪ませながら言ってそうなことなんだけど、そういうわけじゃなくて、私は単に、「可能か不可能か」の話をしたいだけなのです。

 ────────────────

 

腕や脚は切断したら二度と戻らない。

指や耳も戻らない。指は肉が硬そうだし、耳は一口で終わってしまうし、メジャーな部位じゃない。

尻は脂肪の塊だからあまり得意ではない。それに私の尻は冷たく硬いのでとても食べるに適さないだろう。

臓器の中では胃の切除もメジャーだ。

全摘出したらその胃を食べ収める胃袋が無いので一部摘出が選択されるだろうが、胃の一部と肝臓ならどちらが食肉部位としてメジャーかというと、もちろんレバーになるわけで。

それにレバーは栄養が豊富だから、摘出手術後に食べれば精がつくというものだ。

 

そのようにいろいろ検討した結果、食べるなら肝臓が最も現実的という結論に至った。

(皆さんはどう思いますか?)

 

 

私はカニバリストではないけれど、可能なら人肉を食べてみたいと思うものであり(誤解を生みそうなので弁解しておくと、人肉のみならずいろんな生物を食べてみたいと思っている)、しかし倫理的にそれは不可能で、それになんとなく他人の肉を食べるというのも気が引けるし不潔であると思うので、食べるなら自分の肉体にしようと強く心に決めている。

自分の肉ならワンチャン、と思っている。

死期を悟ったら、人生がどうでもよくなったら、なんとか頼み込んで(肝臓切除手術とその調理を)やってもらえはしないだろうか?

 

 

それにしても人肉を食べるというだけでもどういう心持になるのかわからないのに、さらに自分の肉を食べるのだから、情報量が多くて実際食べてみたらあまり味わえないかもしれない。