蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

飢えたら自分の体のどこから食う?

  漫画『ONE PIECE』で次のシーンがある。

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 知らない人のために説明すると、

このシーンの、このものすごい人は「赫足(あかあし)のゼフ」という、足技が強い人だったのだが、不運にも絶海の孤島に遭難してしまい、喰うものに困ったゼフは自らの足を──自らの誇りでもあったその足を──画像のように切断、自分の足を食べて生き永らえる、というきわめて印象深くも残酷なシーンである。

 ゼフはどういう決意で自らの足を折ったのか、それが物語にどういった影響を及ぼすのか、とても良い話で私も読んでいて涙ぐんでしまったので、気になる人はぜひ読んでみてほしい。何巻かは忘れた。最初から読めばいい。

 

 さて、私がゼフだったらどうしただろうか?読んでいてそう思った。

 もっと設定を広げると、もしも絶海の孤島に遭難していよいよ空腹を堪えきれず自分の身体の一部を食べてでも生きたかったら、私はどこを食べるだろう?そう思った。

 

 食べ物の手に入らない絶海の孤島に遭難したことがないのでわからないけど、実際ゼフのような状況になって、私はどうするだろう?そうまでして生きたいだろうか?

 たぶん死を選ぶだろう、と現実的に考えるのではなく、ここは「生ぎだい゛!」と顔をびしょびしょにして叫ぶ設定を守ることにして、思索にふけってみる。

 

 どこを切り落として食べるにしても、めちゃくちゃ痛そうだ。

 むしろ痛すぎて逆に痛くないかもしれない。

 怖い。

 自分の足を切り落とすシーンと言えばホラー映画『SAW』のことも思い出すけど、映画の中では顔面蒼白になって目が落ちくぼみ、一瞬で数十年の時を経たかのような佇まいになっていたな。

 怖すぎる。

 岩で叩き切るのも嫌だ。中途半端に繊維が繋がって、なかなか断ち切れなさそうだ。その間に失血死しそうだ。

 

 失血死

 

 ゼフはよく足を切ったと思う。足は血液が多く流れているから、処置を間違えれば失血死の可能性はかなり高い。痛みで気絶しそうな極限状態の中で、処置を間違う気しかしない。私だったらたぶん死んでるだろう。

 

 血が出にくくて、あまり痛くなさそうで、あってもなくてもよさそうな部位。。。

 耳かな。

 出血の規模が小さそうで、かつ切りやすそうで、自分の部位の中では美味しそうでもある耳、をまずは選択した。それも、左耳だ。

 耳ならずっと口の中でもちゃもちゃやってられてガム的な味わいがありそうだし、噛むことによって空腹感が紛れるのでいいかもしれない。

 左耳の栄養だけで3~4日くらい保つだろうか。

 それで、その3~4日のうちに助けが来なかったら、次は右耳だ。

 美的な感覚だが、頭部はシンメトリーの方がたぶん良い。片耳だけ無いくらいなら、両耳ない方が見た目のバランスが取れる。

 ただ、いちど左耳の激痛を知ったうえで私は右耳を切り落とせるか、懸念がある。

 たぶん無理だろう、と現実的なことは考えないで、とにかく私は「生ぎだい゛!!」ので、右耳も切り落とすことにする。

 これで、両耳で一週間くらいは生き永らえることができるだろう。

 

 その一週間でも救助が来なかったら?

 熟慮の末、私が導き出した答えは、「左腕」である。

 私は右利きなので、右腕は失いたくないし、そもそも右腕がなきゃ切断できないだろう。切断するなら脚か左腕になる。

 尻、という発想もあった。ただ、私の尻は絶壁でほとんど肉がないし、切断が難しそうなので却下とした。

 脚は先ほども述べたように失血死の恐れがひじょうに高いし、身動きが取れなくなるので、いざというときに動けないのでは困る。

 左腕なら、この中なら、差し出してもいいだろう。左腕のくせに断腸の思いである。

 切断後、右手と口を使って、紐で止血するのだ。右腕があればなんとかなる。

 

 腕を食べれば、二週間くらいはなんとかなりそうだ。

 それでも救助が来なかったら……。いよいよ諦めて海の藻屑となるしかない。

 「生ぎだ」くてもしかたがない。

 

 

 書いてて「いや~この記事はちょっと……」と思ったのだけど、その想いとは裏腹に腹がぐぅと鳴った。

 食事にしよう。