蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

ゲーム脳のジレンマ

ームのイントロダクションで操作の説明があって、それは大抵キャラクターが説明してくれるのだけど、

「装備を変えたいときはRボタンを押して……」

「戦闘中に標的を変えたいときはRスティックを長押しして……」

「人に話しかけるときは近づいてAボタンを押すと……」

などとキャラクターに説明されると、ああ、この世界では日常生活に「Aボタン」や「Rスティック」や「長押し」が組み込まれていて、所詮ゲームはゲームなんだな、と萎えてしまう。

 

だからと言ってなんの説明も無くいきなりゲームの中に放り込まれたら不親切である。

操作を説明すると世界観がすこし壊れるし、説明しなかったら不親切になる。このジレンマはすべてのゲーム制作者が抱えているだろうな。

それなら世界観が多少壊れても説明を入れて(どうせ最初だけなのだ)、ここはまぁお愛嬌とした方が良いし「どうせゲームだ」と割り切ることも必要だろう。「されどゲーム」でもあるのだけど……。

この操作説明と世界観維持のバランスをうまく保っているRPGってあるのだろうか。

 

こんなこと考えるのは無粋と承知したうえで。

自分がゲームの世界に入り込んだとして。ラノベやアニメみたいに。

その世界で急に現れたキャラクターに「Bボタン連打して!!」と言われたら正直ぎょっとするな。

で、実際にBボタン連打できたらさらに驚くだろう。

コントローラーも無い、そこは仮想だけど温度も痛みも和らぎもある現実的な世界で、いったいどうやってBボタンを連打するのかわからないけど、たぶん感覚的にBボタンを連打できる気がする。

「攻撃」の動作構文がゲーム世界では「Bボタン連打」に変換されて、短剣を振るう私はその行為を「Bボタン連打」と認識している。

「食事」「話しかける」「物を拾う」が「Aボタン」という動作に集約される。不思議な世界。その操作性になかなか慣れない設定の小説でも書こうかな。

 

 

現実は歩き方やものの拾い方を誰も教えてくれないからゲームより不親切だ。

すべて自分で獲得しなければならないのだ。それに大抵の物事はゲームよりも難しい。

車の運転も、料理も、恋も。ときどきゲームみたいにいければな、なんて思うこともある。(寝て体力が完全に回復すればな、とか)

 

 

現実はままならない。だってゲームじゃないから。

ゲームじゃないからジレンマが生まれる。

結構楽しいと思う。「この世」とかいうゲーム。