蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

「時の最果て」でまた会おう

学生の頃、実家ではゲームを全面禁止されていて、それは教育方針でもあったけど父母のなにかしらの信仰に基づくひとつのテーゼとしての禁則であり子どもを想ってのことだったのだが、はたしてそれが私の幸せにつながったかと言えばそんなわけがない。

周囲がポケモンやモンハンをやるなかで私だけが話題にまったくついて行けなかったため疎外感を味わったし、今となってはポケモンの話題は同世代の共通認識のようなところもあるので私だけが義務教育を修了していないかのようなある種の「教養の無さ」を露呈している現状だ。

今からポケモンをやっても遅い。子どもの頃に触れたポケモンにはみんな「思い出」が含まれている。私にはそれが無い。まさしく永久に手に入らない幻のポケモンなのだ。

 

ゲームを禁止されていたが、中学になると成績不良の私にどうでもよくなったのか、ゲームをしてもなんのお咎めもなくなった。悲しいが幸福なことだった。

そこで私がハマったのは『クロノ・トリガー』のDS版だ。

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もとはスーパーファミコンで1995年に出たゲームで(同い年だ)、その復刻版としてDSソフトになったものを中学生の私はプレイしたわけだ。どうしてこのソフトを手に取ったのかよく覚えていない。周りがモンハンをやってたんだから私もモンハンをやるべきなのにそういうところが捻くれていた。

でも今となってはRPGバージンを『クロノ・トリガー』に捧げて良かったと思っている。

もう説明も不要なほどの言わずと知れた傑作RPGだろう。

主人公クロノは仲間を集めながら原始、古代、中世、現在、未来と時間を移動してそれぞれの世界で冒険を繰り広げ、最終的には悪を滅ぼす、搔い摘んで説明するとそんなストーリーだ。

未来は絶望が蔓延して荒廃し、過去には取り戻せない過ちがある。時代と時代の間には離ればなれになった水たまりのようなどうしようもない隔たりがあって、「時間」という連続したものがいかに曖昧で不安定なものか思い知らされるが、一方で「思い」や「感情」には時代の隔たりは関係なく存在し続けられる力もあるのだと教えてくれる。たとえそれが捻じ曲がったものになったとしても。

 

私は一人『クロノ・トリガー』の攻略に勤しんでいた。

私の他にやっている人はおらず、孤独にパーティを引き連れて敵を倒していく日々だった。

素晴らしいゲーム音楽の話も共有できず、どうしても倒せない中ボスの攻略法も相談できず、どこのストーリーが泣けたかも共感してもらえず、私はもくもくと時間を行き来してひとつの世界を救おうとしていた。

でも苦しいとか悲しいなんて思わなかった。

最高にイカしてて、面白くて、熱中できるゲームだったから。

 

ゲーム中にいくつも行き来をする時間軸の中で「時の最果て」と呼ばれるステージが出現する。

過去でも未来でもなく、すべての時代でありいつの時代でもない空間だ。

廃れた街角を切り取ったかのような場所が真っ暗な空間にひっそりと浮かび、中央にポツンと街灯がひとつ灯っている。それが「時の最果て」である。

ここは冒険の拠点になってそれなりに使用頻度が高いステージになるのだけど、静かなBGMと不気味で神秘的な雰囲気にいつまで経っても特別な場所として魅了された。

このステージでジッとして画面を見つめているうちに寝落ちするのだが、それが心地よくてたまらない。

「最果て」を名乗るだけあって、登場人物も二人しか存在しない。老人と、スペッキオと呼ばれる謎の生物だ。

こんな辺鄙にもほどがある場所でどうやって二人は生活しているのだろう。時間の流れもなにもないからどうだっていいことなのだろうけど。誰にも気付かれないで、誰にも相手にされないで、誰からも孤絶していて、どういうことなんだろう。

つくづく不思議なところだな、と思ってはしばらく冒険の手を休めて雰囲気に浸るほど好きだった。

今思えばだけど、私はただ独りで『クロノ・トリガー』をプレイしていた自分と「時の最果て」の孤絶に自分を重ねて、私と同じ孤独感を「共有」しているゲームの中の老人に同調していたのかもしれない。

 

まぁなによりも、「時の最果て」って名前が格好良いよね。それが一番好きな理由かも。

最果てはどこにもないし、どこにでもある。このステージのそういったコンセプトに哲学を感じる。

ブログの名前「時の最果て」にしようかな。格好良すぎる。

 

いま『クロノ・トリガーは』スマホでもできるらしい。思い出に浸れるゲームがあるというのは幸せなことだ。

もう一度「時の最果て」に行こうかな。

 

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