蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

営みの から揚げ

理はほとんど毎日していて、外食で済ますことは少ない。それが偉いというわけではなくて単に節約のためなのだ。

どちらが何をするとも決まっていなくて、平日は先に帰ったほうが料理をするし、休日はやりたい方が包丁を握る。

 

私か恋人のどちらかが台所に立つ。

うちには包丁が2本あり、牛乳パックを開いた簡易まな板もあるし、調理台も分かれてあるので二人で台所に立つことが可能だが、しかしながら、二人で共同で料理をする機会は少ない。

「先にそれ洗っちゃいなよ」

「まだそれやってんの?!」

「それは皮剥かなくていいんだよわざわざ」

「あ〜!洗わないでまだ!」

「もういい」

二人ともお互いのやり方に口うるさく、雰囲気がギスギスするのだ。

最初の頃はそれこそ二人で料理をしようと張り切ったものの、すぐにその気も無くなって今では「どちらかがやる」暗黙の決まりができた。

 

そういった中で、昨日は久しぶりに共同作業ができた。

から揚げを作ったのだ。

私が鶏肉を切ってタレに漬け込み、彼女が揚げる。お互いの作業中はそれぞれ他の料理を作ったり作業を進めておく。

出来上がった料理の味は二人の力を合わせた味がする。丁寧に味付けをした肉の旨味と二度揚げした衣がザクザクして美味しかった。

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いい定食屋の味がする。これで金儲けをしようという話で盛り上がった。高額納税者になろう、資産家になろう、御殿を構えよう、と。

「共同作業だね」と彼女は言った。

これこそ共同作業だ。

二人で力を合わせてできる料理ってあまりないから久しぶりに何かできると嬉しいものだ。

満足いく料理ができてよかった。