蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

デス・デザインの時代

近、大学時代の友人らに会う機会があって、久しぶりに恋人や会社の人以外と喋ったのが新鮮だったし、それぞれの近況や変化を聞けて楽しかった。あと、他人の仕事の話は妙に面白かった。きっと聞く分には責任が無いからだろう。

激痩せした人こそいなかったけど、目に見えて肥えた人はいて、私レベルの肥満嘆きなんぞまだまだ可愛いレベルだと安心した。

私に関しては「前髪がやや後退している」と指摘された。冗談じゃない。

 

それにしても最近の私はどんどん太っている。栄養という栄養を砂漠の草木のように貪欲に吸収しているし、その栄養を使わず無為に蓄える姿は日本の借金メーターを彷彿とさせて観察していると不安になる。

いずれ将来、取り返しのつかないことになる。

「私レベルなんて可愛いもんだ」と先ほど書いたけど、それは「現状まだ可愛い段階」というだけで、ここからなにか手を打たないといずれは醜く汚く、環境破壊の権化みたいな憎悪の姿になることは間違いない。

「相変わらず細い」と言われたり「ぜんぜん太ってないじゃん」と友人たちには笑われたけど、内心、細めの冷や汗を垂らしていた。

私は着痩せするのだ。

私らしい太り方だと思う。外面ばかり取り繕って、内面では取り返しのつかない事態が進行し、いずれ外面にまで及んで体面を失う。小さなほころびが拡大していき人生に障害をきたす、そんな私らしい太り方だ。

 

また体力の衰えが著しく、生きててこんなに体力が落ちたのはかつてないほどで、正味、三十代になる頃にはなんらかの介護を必要とするのではないかと危惧している。

一時期ニンテンドーSwitchのゲーム「Fit Boxing」をやって体力増強を図っていたが、続かずに辞めてしまって、それ以降坂道を転げ落ちるように体力が減った。

一度つけた体力が減る速度は計り知れない。

また、ここ二週間くらい毎日頭痛があるのも様子がおかしく尋常ならざる雰囲気である。この頭痛はおそらく首と肩・背中のひどい凝りからきていて、神経と血管が圧迫されて脳神経に支障をきたしているのだ。

私の背面はいまや亀の甲羅のようにかたくなっている。

このまま亀になるのだろうか。それはそれでいいような気もしてくるが、万年も生きるのは勘弁願いたい。

 

肥満・体力の低下・体の不調

これらをどうにかするために、一昨日から再び「Fit Boxing」をはじめた。じつに4ヵ月ぶりのログインであった。

体力がなくなっているので「軽め」のコースでも休み休みやらないと完走できず、ときどき喉奥からせり上がってもくるものがあるのでそのたびにゲームを一時止めて呼吸を整え、ちかちかする視界が急激に暗くなったり明るくなるのを「あはは」と笑いながら虚空を見つめて安定するまで床に座り込み、あるいは横臥してビクッと体を震わせている。

惨め。あまりにも。

二十代後半ってこんなに「くる」ものなのか?

 

私の人生の目標は健康的に、そしてドラマティックに死ぬことだ。

そのためにはこんなところでへばってる場合じゃない。

ライフ・デザイン、キャリア・デザインなんて古いよ。

これからの時代はデス・デザインだ。

矛盾しているようだけど、健康的に、明るく、ドラマティックに死ぬためには、充実した人生を送る必要があるのだ。

充実とは人によって定義が異なるけど、そこに健康が関わるのは間違いない。

できれば安らかに死にたいのは誰しも同じ。最悪に苦しんで死ぬなんて嫌だ。その要因の一つである「病」を忌避すべく健康を維持したい。

 

いつか死ぬときのために、今からでも遅くない、私はヘロヘロでもゲーム画面に向かってパンチを繰り出すのだ。死にそうになりながら。