今週のお題「大移動」
旅行の何が好きかって、移動がとにかく好きだ。
移動が好きなので、目的地に到着してしまうと、あーあ、着いちゃった……と肩を落とすこともある。
目的地にそこまで興味はなくて、私はただ移動がしたいだけであり、どこかへ行けるならその移動、過程にこそ旅情があると思っている。
移動しながらの食事はなんて美味しいのだろう。
移動しながらの読書はなんと退屈なのだろう。本を閉じて目を向けた車窓は、なんて特別なのだろう。
鉄道のシートのにおい。飛行機の音。レンタカーのハンドルの触り心地。キャリーケースの重さ。リュックのポケットに入ってるお菓子。絶対に使わないと思いながら忍ばせたサングラス。
移動過程で最も好きなのは、駅ですね。
新幹線の駅で出発を待っているときの、ああこれから移動をするのだ、慣れた土地を離れてどこかへ行ってしまうのだというワクワク感が最高潮に達する。
駅の売店でなんかその土地の食べ物を買ったり、慌ただしくNEW DAYSで飲み物やランチパックやガルボを買ったりする時間が好きだ。
今考えただけでもそわそわしてきた。楽しくて。
空港、大好き。
空港のチャイム?ピーンポーンパーンポーンってやつ。
「ANA752便 新千歳へお越しの皆様は15番搭乗口へ〜」
早口で唱えられるスタッフのアナウンス。あの声ってたいがい女性だけど、いつ聞いても同じ声な気がする。
旅の声。大好き。
あれを録音して聞いていたい。
空港って大理石だからキャリーケースを引っ張りやすくて嬉しい。そんなことを思いながら、お昼ご飯を食べるお店を探してうろうろする。
機内で食べるお菓子を買ったり、ペーパーバックを買ったりする。へ〜羽田空港ってありとあらゆるお土産があるんだな、とか思ったりする。
搭乗前の、ゲートで待ってる時間も好きなんだよな〜〜〜!!
これから乗る飛行機が、賢い執事のように、そこで待っている。
飛行機ほど美しい乗り物はないと思う。
人間が空を飛ぶために、徹底的な科学と論理で作り上げた鋼鉄の塊。空を飛ぶ夢の実現にはこれほどまでの現実的な科学が必要なのだ。
飛行機について思いを馳せる。
まったく惚れ惚れする乗り物だ。
おれはこれから、この鋼鉄のロマンに乗って、空を翔けるのだ。
旅行は移動が好きというよりも、厳密に言えば移動する前の待機時間が大好き。
到着してしまうと、もうワクワクはしなくて、あとはもう終わりを迎えに行くだけの時間になってしまう。
旅先のグルメで東京のものより美味しいことってあまりないし、美しい海もいいけど地元の海のほうが心落ち着く。
「家に帰れない」ストレスが若干ある。
でも温泉宿は好き。
私の中で旅行の本体は、移動なのだ。
ただし、帰りの移動は嫌い。
ここに論理はなく、もう心の問題。帰るころになって旅先の雰囲気に慣れるのもある。