蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

喫煙席を探している、人生の無駄な時間

  に髪を切り、ラーメンを食べ、夜の飲み会まで時間があったので、どこか喫茶店にでも入って本でも読もうと思った。

    せっかく街に出たのだから、ドトールとかベローチェじゃなくて、古めかしい喫茶店に入りたかった。ガロの『学生街の喫茶店』に出てくるような喫茶店だ。ジャズかクラシックがかかっていて、濃くて苦いコーヒーが飲めて、古ぼけた柔らかすぎるソファがあり、もちろん煙草を喫(の)めるところ。

 

    はたして、そんな喫茶店はなかった。

    2時間ちかく街をウロウロし、雑貨屋を覗いたり古本屋を冷やかしたり楽器屋でギターの温かさを想ったりしながらそれとなく喫茶店を探したのだけど、なかった。

    そもそも古い喫茶店絶滅危惧種だった。

    そして、見かけたどの店も禁煙だった。

    アホくさ。

 

    この時代に煙草をやっている方がアホくさいのかもしれない。

    だけど今はそんな論議はどうだってよくて、ニコチンをすぱすぱ肺に入れられることだけが世界の重要課題だった。

    古めかしい喫茶店で、コーヒーを飲み本を読みながら吸う煙の心地よさを、非喫煙者にも教えてやりたい。それを知っていれば禁煙ブームなんてなくなるはずだ。

    だけどまぁ、どうだっていい。誰にとっても。

    今はタバコを吸いたい、それだけだ。

 

    寒空の下2時間もうろうろしてそれがいちばんアホみたいだ。というか、アホなのだろう。

    喫煙できる喫茶店を、このブログを書いているスマートフォンでさっさと検索すればいいのだ。だけど私はそれをしなかった。

    元来、スマホで調べるのは嫌いなのだ。特にこういった、街に何があるかとか、女の子は何が好きかとか。

    日本住血吸虫のことやスエズ運河のことなんかはさっさと調べるくせに。

 

    諦めて、ドトールに入った。

    ドトールのコーヒーは安いわりに美味しい。私はドトールのコーヒーで、コーヒーが好きになったようなものだ。だからドトールコーヒーはママのおっぱいに等しい。甘いか苦いかの違いである。

    喫煙席で本を読んだ。『ノルウェイの森』だ。何度かぱらぱら読み返していたけど、通読するのは2回目だ。

    『ノルウェイの森(下)』を読み切ってしまっても、まだ集合時間には時間があるから、こうしてブログを書いている。

    80日くらい連続更新している。えらいなぁ。好きだからできることだ。

 

    昨晩、4年前に別れたきりの元恋人から突然メールがあった。「元気にしているか?」だと。

    元気にしている。残念に思うだろうけど。

    そう答えてから、返信はまだない。

 

    集合時間にはまだたっぷり時間がある。

    もう少し煙をふかそうと思う。