ひと月半前に「あ~これはやっちまったかもな。でもまぁ、なんとかなるっしょ。ミスじゃないな。うん。平気だ」と放っておいたものが今日突然浮上してきて、がっつりミスになってしまい、やっぱりだったかぁ~と思う間もなくユーザー影響が出て平謝りする事態となった。
笑い事じゃないのだが、笑うしかなかった。
100%私が悪くて、はっきり言って猛反省した。
先輩たちは私を責めなかったけど、悪いのは私なのだ。
とにかく謝って、対応して、改善され、なんとかなったのだけど、そもそも防げたミスだ。
「あ~これはやっちまったかもな」と思った時点で正直に相談すべきだったし、「なんとかなるっしょ」と未来の自分という他人に責任を放棄するよりも先にその場でなんとかすべきだったのだ。
過去の自分という他人をぶん殴りたい。
考えてみれば当たり前というか、私は不誠実だった。
「笑うしかなかった」と書いたけどこれは嘘で、私は全身蒼白になって変なニオイのする汗をだらだら掻き、なんか自分への怒りと周囲への申し訳なさと不誠実さに怒りたかった。
自分は可愛いもんだけど、自分より憎い奴もいない。
疲弊して、会社を出た。
へこたれてなんていないけど、凹んだ。
いくら長男でも、反省をするときはするし、凹むときはがっつり凹む。すべての長男が炭治郎のように強いわけじゃない。
なんか、なんだろう、四肢を折り畳んでぎゅーっと体を丸めて完全な球体になり、オフィスを跳びはねて破壊したくなった。
そして、なにもない、"無"になったソコで、さめざめと泣きたかった。
こうやって書いててまた悲しくなった。
これからは誠実であろう。
桜の木を伐ったワシントンのように、誠実であろう。
「こぅこはどぅこの細道じゃ 天神さまの細道じゃ」
小声で歌いながら、足をもつれて雑踏を抜けた。
汚いものがそこらに散らばっている道にいれば、自分は綺麗だと思いたかった。
気付いたら、本屋にいた。
そんで、気付いたら、えっちな本を買っていた。
自分でもよくわからない。
「この気分の時に買うもんじゃないだろ……」と思いつつも、今こそ買わなきゃやってられない、とも思った。
1200円也。
高いけど、安かった。
えっちな本には邪気を払う力がある。
えっちな本と、サンリオのグッズと、中高時代の教科書には邪気を払う力がある。
無垢で、真剣で、ほんのすこし馬鹿馬鹿しくて、現実離れしているところがある。どれも役に立つし、役にも立たないものでもある。そういうところがいい。現実から乖離していてそのパワーが邪気を払う。
買ったえっちな本を眺めながら、モザイクなんていらないな、と呟いてしまうのは、視界はとっくに揺らいで霞んでいるからだろう。
今日ははやく寝よう。