ダンスが苦手だ。
嫌い、という意識はないのだが、ダンスは得意ではなく、私が踊るだけでひと笑い獲れるので、簡単で効果的な恥さらしの方法ともいえる。
中学の頃に体育の授業で「ダンス」があり、2年生の時は創作ダンスをやらされた。
なんかちょっと変わった先生で、「新聞紙を使ってインスピレーションを受けた動きを体で表現しよう」って授業だった。先生は風に揺れる新聞紙のように体をゆらゆらフラフラさせ、私もそれに倣った。
その創作ダンスは全員が酩酊した犬みたいな動きをしてたので、自分のダンスの才能の無さには気付かなかったのだが、3年生の時のダンスの授業で、自分はもしかしてダンスが下手くそなのではないかと思い至った。
3年生のダンスは、なんか皆と動きを合わせて頭の上で手を叩いたり飛んだりする、エアロビみたいなやつだった。
どういう仕組みでそうなってしまうのかわからないが、私は周りと動きが合せられなくて、ワンテンポもツーテンポも遅れていく。毒が回っている人みたいになっていた。
同じ班の女子に、怒られた記憶がある。
「ふざけないで」
真面目にやっていてこれなんだ。と言っても信じてもらえない。
なぜなら、ダンスが苦手な人の動きはどう見てもふざけているようにしか見えないからだ。
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アメトークに「ダンス苦手芸人」的な企画がある。ダンスの出来ない芸人を集めて踊らせひとところに嗤うという醜悪なテレビ・番組だ。
それを観てひとしきり笑い、呼吸ができなくなって死にかけた。テレビ局を訴えようと思う。
踊れない芸人の動きはいかにもふざけていて、糸の弛んだ操り人形みたいな動きを隙間なく繰り出すので、芸人て笑いを取るためなら本当に手段を選ばないよなぁ貪欲だなぁとちょっと嘲笑の気持ちもあったが、自分もやってみようとテレビと同じダンスをしたら、だいたい芸人と同じ動きになったのでびっくりした。
彼らはウケを狙っているのではない。
大マジなのだ。
私のダンスは、ダンスと名付けることのできない「動き」としか言いようがなく、最初の内は笑えるんだけど、ずっと見ていると気分が悪くなるような代物だった。
ボックスステップすら満足にできなくて、上半身と下半身の動きに関連性がなく、リズム感は皆無で、安いCPUで作ったCGモデルみたいな動きになっていた。
ダンスは運動神経よりもリズム感が大事だ。
楽器をやっていて、本来備わっているべきリズム感がないことを充分にわかっているので、ああ、ダンスできないのも根本的な問題なんだなぁと察する。
どのくらいリズム感ないかというと、コンサートでアンコールの拍手するじゃないですか。みんなでリズムとテンポ合わせて、手拍子するやつ。あれすらできなくて、気付いたらみんなの裏拍を手拍子している始末。
リズム音痴というものがあるのだろう。