蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

スピッツのライブ体験と自己嫌悪

 ピッツが2013年のワンマンライブ「横浜サンセット」の動画をYouTubeに載せてくれた。

 

youtu.be

 

 コロナ事情で、多くのミュージシャンやバンドがライブ映像や音源を無料公開したり、生配信してくれる。

 事情が事情なだけに手放しで喜ぶことはできないけど、手放しじゃなければ喜んでいいということにして、両手に空のペットボトルを振りながらそういった映像を享受している。ゴミがめちゃくちゃ溜まった部屋で。

 

 

 ライブ映像を見て、2年ほど前に武道館にスピッツを観に行ったことを思い出した。

 これ以上は下がれないってくらい後ろの席で、豆粒くらいにしか見えなかったスピッツ。豆ならまだマシだ。瞳の中に漂う飛蚊より小さかった。

 実際に目の前で歌ってるの??って疑問に思ったほどだ。

 だけど実際に歌っていることはこの耳がたしかに感じていて、草野マサムネの胸を爽やかに通り抜けていく歌声を全身の細胞が感じていた。楽器が実際にアンプから爆音で鳴っていて、臓物がぐんぐん跳びはねた。ライブは爆音でやらなきゃ意味が無い。

 そのとき行った講演では舞台脇に振付師とでも言おうか、「ライブのノリ方」を指示してくれるダンサーみたいなのが数人いて、彼女らが手を振り上げたと同じように観客も手を振り上げ、同じように手拍子をし、実に統率の取れた会場を演出させるに成功していた。

 私ははっきり言ってそういうのが嫌いで、好きにノらせろと思うものだが、会場が会場なだけにノりにくい観客は助かったのかもしれない。年齢層も広いのだ。皆一様に同じように手を振り上げ、拍手をし、腕を回したり跳んでいるさまはなんだかちょっと異様だった。

 「管理型」

 そんな言葉が浮かんだ。

 

 すばらしい音楽で、ずっと憧れだったので良い思いをしたのだが、その統率の取れたノリのせいで、いまいち音楽に集中できなかった。

 いや、私も、大衆に混じって、腕を振り上げたりすればよかっただけなので、スピッツはなにも悪くないし、観客だってもちろん悪くない。だけど私だって悪くない。

 好きに自分のリズムで音楽に合わせてゆらゆらしていても、周りは「ッハイ!ッハイ!ッハイ!」とノっているので、なんだか私だけ浮いてしまって、周囲からは「ノリの悪いヤツだなぁ」と思われてるんだろうなって悲しくなった。実際、ノリが悪い。

 なんかすごいひねくれてそうで嫌だな。

 弁解させてほしいのだが、皆と同じことをしたくない!という想いで私はノリが悪かったのではなく、ただ自分の好きなように音楽を聴きたかっただけなのだ。

 ひねくれてたんじゃない。

 そして自意識過剰だっただけだ。

 スピッツは悪くないし、観客も悪くないし、私だって悪くない。この精神を大事にしたい。

 

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 いや、本当のことを言うと、やっぱりひねくれていて、なんか、皆で!みたいな雰囲気がロックじゃなかった。

 優しすぎる。私には勿体ない、手に余る優しさだ。

 そんなスピッツが好き。

 

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 全然関係ないけど、ライブで歌詞を間違える瞬間が好き。

 完全な演奏なんて音源で聴けるので、歌詞を間違えてくれると、今目の前で歌っているのだと嬉しくなる。