蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

サバイバルで即死

  YouTubeのディスカバリーチャンネルでサバイバルの番組をよく見ていて、あとナスDのサバイバルとかいろんなYouTuberのサバイバル動画を視聴して、いつどんなときにジャングルの中に放り出されようとも大丈夫なように備えているのだが、実際、飛行機が墜落してジャングルに放り出されて運よく助かったとしても、救助が来るまでの間生き残れるかというとその自信はない。

 飛行機が墜落してそこでサバイバルすることになったら救助はすぐに来るだろうからそこから動かない方が得策だろう。もっと非現実的な話をしよう。

 

 無人島で一か月自力で暮らしていかなきゃならなくなったらどうしよう。

 道具無し、あるものは着ている衣服だけ。

 どこにある島なのかもわからない。砂浜がずっと向こうまで続いていて、とりあえずその先まで歩いて行くと30分ほどで元いた地点に一周して戻ってきてしまう、そんな島だ。

 背後に鬱蒼と茂るジャングルがあるが何人(なんぴと)も拒む暗さで、明らかに毒を持っていると思われる甲虫や毛虫の類、それから姿の見えない鳥の鳴き声が頭上から降り注ぐ。

 こういった島は、ベア・グリルス氏によればサンゴ礁が隆起してできた島であり、湧き水による真水の調達は難しく、雨を待つしかない。

 とりあえず雨が降るまでは海岸に点在するヤシの実で渇きを潤すしかないが、あんな高いところにある実をどうやって採ればいいのだろう。

 ベアとかエド・スタフォード氏は体力も技術もあるから木に登ってしまうけど、私にはできない。とにかく揺さぶったり石を投げるしかない。たぶんそれだけで半日終わるだろう。

 そんで半日の内に直射日光にやられて熱中症になって、水分が無いため恢復できず、死ぬのだろう。OS-1さえあれば……そう思いながら……所ジョージの顔を思い浮かべながら……。

 

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 恋人と島に漂着したらどうしよう。

 私は恋人を守りきれるだろうか?

 恋人がいてくれたら心強いけれど、どれだけの面倒くさいことが巻き起こるか想像に難くない。

 ところで女性にサバイバルはかなり過酷だ。体力こそ物申す世界だからというのもあるが、生理が来たらかなり厄介なことになる。無論生理用品なんてないので、はじまったら治まるまでジッとしているしかない。下手に動いてなにかあったら最悪感染症などになりかねない。抗生物質もない。青カビを飲むしかない。

 食生活が大幅に乱れて充分な栄養を摂取できないだろうから生理不順になるかもしれない。この場合、その方が都合がよいかもしれない。

 

 私は火をおこし、恋人には貝を拾わせ、二人でヤシの皮を使って籠などを編み(勘で編むしかない)、わずかな雨水を舐め、救助船が来るのを待つのだ。

 鳥や動物を狩ることは困難なので、食は木の実や貝などに限られてくるだろう。縄文時代貝塚から貝殻が大量に出てくる理由も頷ける。貝は逃げない。火さえ通せば安全に食べれる。

 魚を獲るにも釣竿を作るのは現実的ではないため、岩礁に罠を仕掛けることになるが、罠を仕掛ける知識が無い。仕掛けたとして、運が良ければ獲れる程度のシロモノだろう。

 

 やがて木の実も底をつき、貝でお腹も膨れず、二人ともがりがりに痩せて、夜の底で星の光を浴びながら、死ぬのだ。

 翌朝起きると、恋人が息をしていない。

 飢えに耐えかねて私は恋人を……

 

 

 嫌すぎる。

 

 

 サバイバルなんて無理だ。

 

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 サバイバル動画を見ながらそんな妄想をしてしまうのでストレスがすごい。

 あ、おれだったらここで死んだな、なんて数えると1時間の動画の中で5回くらい死んでたりする。

 それなのにどうしてそんな番組を見るのかというと、番組では最後に救助が来て過酷な環境から脱出するため、妄想の中の私もそこで一緒に救助される、その快楽を味わえるからだ。

 

 あと、なんだかんだサバイバルはロマンだからだ。