母がこの政情不安定な時期に韓国へ遊びに行っている(仕事だ)ので、家事は自分でやらなければならない。
大学時代は一人暮らしをしていた時期があったので、当然家事はしていたのだが、社会人になってする家事とはかくも面倒くさいものかと辟易している。
ただでさえ家事は面倒なのだ。仕事終わりにもう一仕事する気力なんて残っていない。
朝なんて食事をする気にすらならないので、ましてや洗濯や掃除はやる気にならず、帰宅してからやらねばならない。普段は私が仕事している間に母がしてくれていることだ。
二日間の洗い物がシンクに溜まり、見ているだけで悲しくなってくる。
洗濯物が洗濯機のかたわらで朽ちていて、心が寒くなってくる。
食卓の上が汚い。月曜日の朝に食べた ぶどうが ふた粒、滲んだ皿からこぼれてる。ぶどう農家が見たら怒りそうだ。
今や、我が家は怠惰を具現化していた。
大学生の妹は日夜忙しくしており(遊びで)、火曜の夜にスパゲティを茹でて以降、なにひとつ家事らしきものをしてくれない。正直にわがままを言えば、昼間は自室で寝てばかりいるのだから、洗濯物くらいしてほしい。なにも川に洗いに行けとは言ってない、洗濯機に突っ込んでボタンを押せと言っているのだ。
だけども、私はスパゲティすら茹でず、YouTubeやオモコロばかり見てゲッゲッゲッ、笑っているだけであって、そんな自分が妹に「家事をしろ」と言ってもそれは都合がいい話で説得力は皆無、ここはひとつ見本を示し、兄としての威厳も回復したいところだ。普段は足蹴にされ、私と会話するときは目を逸らされて鼻をつまんでいる妹だ。このままでいいはずがない。
私は遅番から帰宅し、夕食がないのでカップ麺を食べ、22時、溜まった洗い物をして、洗濯をはじめた。
妹は番組観覧のために外出中である。
帰ってきたら片付いている部屋を見せて、驚かせるのだ。なんてできた兄だろう。みんなに自慢しよう。そう思わせたい。
ぶどうを片付け、ほったらかしになっていた衣服を畳む。これだけでなにやら満足感がある。
妹が帰ってきた。23時半。
「おかえり!」
「ただいま」
「ねえ、ちょ」と、私が言おうとしたのを妹は聞こえなかったのか、疲れた顔でスタコラ階段を上がって自室へ篭ってしまった。
私は報われない家事をした。
現在、深夜1時。
洗濯乾燥機はまだ回転をやめず、私を寝させてくれない。乾燥が終わったらさっさと衣服を出さないと、しわくちゃになってしまうのだ。
その待ち時間にこのブログを書いている。
ところで私は日付が変わる前に眠らないと、翌日に疲れを持ち越すタイプなので、さっさと寝なければならない。この1週間、疲れを持ち越しているので、そろそろ大きいニキビができる頃である。
家事をしてくれる母は偉大だ。
報われない仕事を毎日やっているのだ。手伝わないならせめて感謝をしたいし、感謝するくらいなら手伝ってやりたい。よく考えたら手伝ってた。毎日風呂を洗っている。でも、それ以上のものが必要だろう。
一億総労働時代、『夏への扉』みたいな家事ロボットを早急に作って、女も男もその他も楽できる生活にしたい。
ロボットという奴隷が必要だ。
奴隷はいつの時代だって、娼婦と同じくらい需要がある。
そして、母は奴隷ではない。