蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

免許の更新に行く

  はじめて運転免許の更新手続きに行ってきた。

 私が普通自動車免許を取ったのは2年前の夏である。それ以来に神奈川県の免許センターへ行った。

 神奈川県の免許センターは横浜県旭(あさひ)区という横浜県の中でも西寄りの「横浜植民地」と呼ばれている(呼ばれていない)辺鄙な地域にある。「二俣川(ふたまたがわ)」といういかがわしい名前の駅が最寄だ。

 日曜日なのに朝早く起きて、電車を乗り継いで一時間くらいかけて二俣川駅へ。

 駅から免許センターまではハムスターだったら徒歩で2時間以上かかるところにある。ちょっと遠いのだ。

 

 免許センターは真新しく建て替えられていて、最初、別の施設かと思った。

 2年前来たときは、まるで戦火を逃れて人々の避難先になったことのある歴史を持つ昭和初期からの施設、といった趣だったのに今はどうだろう、ロボットがワクチンを運んでいる最新鋭の大学病院みたいではないか。

 壁は白く、人々の動線がわかりやすく建設されており、天井が高くて自然光がふんだんに入る。タイムスリップしたみたいに綺麗だ。目が痛くなるくらい綺麗だ。

 昔はAKIRA』で金田が通っていた学校くらい汚かった。そこら中に卑猥な落書きがあったり、物陰で淫乱なことをする人や違法薬物を売買する人、カツアゲ、恐喝がされていそうな雰囲気だった(されていないけど)。

 それに比べたらなんとマァ、変わったことだろう。

 

 さまざまな手続きのために1時間ほど並んで、2時間の講習を受ける。

 この「さまざまな手続きのために並んだ一時間」はじつにさまざま書こうと思えば書けるものであるが、はたして面白くはないので割愛させていただく。

 と言ってそのあとの2時間の講習が愉快だったかと言えばまったくそんなことは無い。よっぽど退屈であった。

 そもそも免許センターに行くということ、免許の更新をするということがなにか面白いわけは無いのだ。なんなら人生の退屈ランキングベスト50に入るくらい面倒なことなのだ。

 割愛。

 更新には昼過ぎまでかかり、帰りにチャーハンを食べて、帰宅し眠った。

 

 

 それにしてもこの2年間よく無事故でやってこれたと思う。

 運転適性がほとんど無いなりに気を付けて運転してきたが、それでもかなり危ない場面はあったし、助手席の人間を怖がらせた場面もあった。

 でも事故にならなかったのは、ひとえに周囲のドライバーの的確な判断のおかげである。私のような危険運転に対して率直かつ適切な運転判断をしてくれるから、衝突事故を避けられたのだ。ほんとうにありがとう。

 今日講習を受けて、あらためて気を引き締めた。

 慢心せず、集中して運転に臨みたい。あくまでも安全第一でやりたい。教習ではじめて公道に出た日の気持ちを、震えを、忘れないでおこう。