蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

すべてを赦すことはできるのか

良漫画が苦手だ。

どれだけ大義を掲げていようが、根は優しい奴だろうが、でも不良なんですけどね……と思ってしまう。

ちょい悪いほうが格好良いということはなくて、誠実で、嘘をつかず、与えられた仕事は真面目にこなしているほうが好感が持てる。そういう人種の中にも面白い人間はいる。

ジョジョの5部の主人公はマフィアだ。5部は好きだけど、最初はやっぱり「不良かぁ……」というところが気に掛かった。

まぁ、3部も4部も不良みたいなところはあるけど、不良でありながら紳士だから大丈夫。その理論で、5部も大丈夫だった。

6部の主人公もまぁまぁ不良だし、明確に前科があるのでどうしようという感じだけど、大丈夫だった。

ジョジョは例外的に大丈夫なのかもしれない。早速一貫性のない主張になってしまった。

 

東リベは序盤だけ読んでやめてしまった。主人公が不良だったからだ。仲間たちも不良だった。

不良の恋人なんて、ろくなことはないだろう、という先入観もあり、物語の序盤からまったく入り込めなかった。

不良なら何をどうされたって仕方がない。そのような断罪の気持ちで読んでいたので、まったく響かなかった。

我ながらフィクションをフィクションであると受け取れていないなと思う。

 

悪いことをした人は、どんなに良いことをしても、もう更生の機会はないのだろうか?そこからの人生は罪を償うだけの、罪滅ぼしの余生となるのだろうか?

悪いことをした人には、どんな仕打ちをしてもいい、という考えはよくない。その心こそが本質的な悪であると思う。

とはわかっているものの不良キャラをなんだか好きになれないのは、「でもこいつのせいで誰か傷付いてるよね……」の気持ちが拭いきれないからだ。

 

一度悪いことをした人がどれだけ反省して罪滅ぼしをして更生したとしてもその人を赦せないという気持ちは、極端だけど、太平洋戦争に負けて歴史上「世界の悪」となり、その後世界有数の経済大国となって途上国に経済支援を行っている日本人は、誰一人として持ってはならない感情なのではないかとも思う。

これもまた極端だけど、人間とは多面性の生き物だから、誰しも悪の側面を持っている。結局悪人に石を投げられるような人間は本来的には1人もいなくて、ただみんな自分の多面性の一面から目を背けているだけなのだとも思う。

 

更生した人にはちゃんとそれとして評価したいし、その陰で真面目にやってきた人にはもっともっと褒めてあげたい。

不良漫画については、序盤で「この不良はかなり更生します。介護士になって地域の老人に慕われます」などと書いておいてほしい。

更生しない不良には価値がないので……。